季節の変わり目に増える不調― 冬から春、身体の変化に気づくために ―

GP 富田愛子先生
富田 愛子 先生

こんにちは。GPの富田愛子です。

もう9月。オーストラリアでは春を迎えましたが、まだ冬物のアウターが手放せない日もあります。
「なんとなく体調がすぐれない」「疲れやすい」「皮膚の痒み」「鼻や目の症状が出てきた」と、
花粉症の有無にかかわらず、身体の変化を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

季節の変わり目には、気温や天候、湿度、日照時間など、私たちを取り巻く環境がいくつも同時に変化します。

今回は、冬から春へと移り変わるこの時期に起こりやすい身体の変化と、
日常で気をつけたいポイントについてお話しします。

春は、身体にとっても「変化の季節」

シドニーやメルボルンでも春は、暖かくなったと思ったら翌日はまた寒くなるなど、
気温が大きく変化します。朝晩と日中の気温差もあり、
「何を着て出ればいいのか分からない」ということ、ご経験があると思います。

気温だけでなく、気持ちもどこか落ち着かない——春は、そんな変化を感じやすい季節でもあります。
こうした環境の変化に合わせて、私たちの心身も体温調節や睡眠・覚醒のリズムなどを調整しています。

季節の変わり目に感じる疲れやだるさには、睡眠不足、アレルギー、感染症、生活リズムの変化など、
さまざまな要因が重なっていることがあります。

「春だから」と一括りにせず、最近の生活や心身の変化を、少し振り返ってみましょう。

春といえば「花粉症」

春になると増えてくるのが、花粉症(hay fever/allergic rhinitis)の症状です。

  • くしゃみ
  • 鼻水、鼻づまり
  • 目のかゆみ、涙
  • 喉の違和感
  • 皮膚の痒み、ただれ

などが代表的ですが、症状が強いと睡眠が妨げられたり、
日中の集中力が落ちたり、疲労感につながったりすることもあります。

「風邪かな?」と思っていたら、実は花粉症だった、ということも珍しくありません。

症状が続く場合には我慢し続けず、GPや薬剤師に相談してみましょう。
抗ヒスタミン薬や点鼻薬など、症状や体質に応じた治療方法があります。
悪化すると、慢性化するのでお気をつけて。

春に知っておきたい「雷雨喘息」

東南オーストラリア(NSW/Victoria)では、例年10月から12月にかけて、
イネ科植物の花粉が多くなる傾向があります。
この時期に、花粉量が多い状況と特定の雷雨が重なることで、
「thunderstorm asthma(雷雨喘息)」が発生することがあります。

喘息の既往がある方、過去に喘息があった方、春に花粉症の症状の出る方、
まだ診断されていないものの喘鳴などがある方は、雷雨喘息のリスクがあります。

こんな症状がある場合は注意してください
  • ゼーゼー、ヒューヒューする
  • 息苦しい
  • 胸が締めつけられる感じがする
  • 咳が止まらない

症状が急速に悪化する、会話が難しいほど息苦しい、
唇が青くなるといった場合は、迷わず000に連絡してください。

雷雨喘息は短時間で悪化し、命に関わることがあります。

喘息や花粉症がある方は、症状が出始める前に、
ご自身のリスクや予防・対処法についてGPと確認しておくことをおすすめします。

日が長くなると生活リズムも変わる

春から夏に向かうにつれて、日照時間が長くなっていきます。

明るい時間が増えることは、外出や運動の機会を増やすきっかけにもなります。

一方で、夕方になっても明るいことで帰宅や夕食、就寝時間が少しずつ遅くなったり、活動時間が長くなったりすることもあります。

身体にとって大切なのは、季節が変わっても基本的な生活リズムを大きく崩しすぎないことです。

朝起きる時間、食事、睡眠など、すべてを完璧に整える必要はありません。

「最近、少し寝るのが遅くなっているな」「外出が増えているな」と気づくだけでも、
生活を調整するきっかけになります。

春から年末は、忙しい季節

春になると、外出や学校行事、スポーツ、イベントなども増えてきます。

そしてオーストラリアでは、このままクリスマス、スクールホリデー、年末へと一気に進んでいきます。

暖かくなって元気になったように感じても、予定を詰め込みすぎれば、
身体には少しずつ疲れがたまります。

楽しい予定も、身体にとっては「活動」です。

予定が増えてきたときには、何も予定を入れない時間も一緒に確保しておくとよいでしょう。

「季節のせい」と決めつけない

季節の変わり目にはさまざまな不調が起こりますが、
すべてが季節によるものとは限りません。

  • 強い疲労感が続く
  • 発熱や咳などの症状が続く
  • 息苦しさや胸痛がある
  • 日常生活に支障が出るほど症状が強い
  • 市販薬を使っても症状が改善しない

といった場合には、GPに相談されることをおすすめします。

「季節の変わり目だから仕方がない」と我慢せず、
必要なときには一度身体の状態を確認してみましょう。

おわりに

冬から春へ。

暖かくなり、花が咲き、外で過ごせる時間も増えていく気持ちの良い季節です。

一方で、花粉や気温の変化、生活リズム、増えていく予定など、
身体を取り巻く環境も大きく変化しています。

季節の変化を楽しみながら、
「最近、身体の調子はどうかな?」
ときどきご自身の心身にも目を向けてみてください。

少し疲れていたら休む。症状があれば早めに対処する。
気になることが続けば相談する。
そんな小さな調整をしながら、それぞれの場所で春を健やかに楽しんでいただければと思います。

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