首藤まり子(Mariko SHUDO)
Mariko’s Wellness
Mental Health Counselor
精神科医・公認心理士(日本)
https://www.marikos-wellness.com
“完璧主義さん”と向き合う
― 頑張りすぎる心を少しゆるめるために ―

こんにちは。
心理カウンセラーの首藤まり子です。
これまでのコラムでは、海外生活のストレスや孤独感、不安や焦りとの付き合い方についてお伝えしてきました。。
今回は、カウンセリングでも取り扱うことの多いテーマ、「頑張りすぎてしまう人」「完璧を求めすぎてしまう人」 へ向けて、“完璧主義”との向き合い方についてお話ししたいと思います。
完璧主義は、悪いもの?
「完璧主義」と聞くと、ネガティブなイメージを抱く人が少なくありません。
しかし実際には、完璧を目指そうとする姿勢そのものが悪いわけではありません。
●責任感が強い
●丁寧に物事を進められる
●努力を積み重ねられる
●周囲への配慮ができる
こうした長所につながっていることも多く、海外生活の中で頑張ってこられた方ほど、この傾向を持っていることがあります。
また、完璧主義の傾向があったからこそ、これまで達成できたことや、周囲から評価されてきた経験がある方も少なくありません。「きちんとやる」「失敗しないよう努力する」ことでうまくいった経験が積み重なると、その考え方は自然と強化されていきます。
だからこそ、完璧主義そのものが悪いわけではないのです。
問題になるのは、
「完璧でなければ意味がない」
「失敗してはいけない」
という状態が続き、自分を追い込みすぎてしまうことです。
なぜ、頑張りすぎてしまうのか
完璧主義の背景には、
●失敗してはいけない不安
●周囲に迷惑をかけたくない気持ち
●「ちゃんとしなければ」という責任感
●自分に厳しい価値観
などが隠れていることがあります。
特に海外生活では、
●言葉や文化の違いによる緊張
●「自分で何とかしなければ」という状況
●周囲に弱音を吐きにくい環境
が重なりやすく、「もっと頑張らなければ」という気持ちが高まりやすくなります。
海外生活では、道を歩くことからスーパーでの買い物、子どもの学校対応。そういった些細な日常の行動であっても、日本にいた頃よりも緊張感を伴う場面が少なくありません。
「間違えてはいけない」
「失敗すると大変なことになるかもしれない」
そうした小さな不安や警戒感が積み重なることで、無意識のうちに心も身体も力が入り続けてしまうのです。
その結果、
●休むことへの罪悪感がある
●小さなミスを何度も思い返してしまう
●人に頼ることが苦手になる
●常に気を張っている
といった状態につながることがあります。
“100点”を目指し続ける苦しさ
完璧主義の方は、無意識のうちに「100点」を基準にしていることがあります。
しかし現実には、仕事、育児、人間関係、家事、海外生活・・すべてを常に100点でこなすことは、誰にとっても難しいものです。
それでも、
●80点では足りない
●休むと怠けている気がする
●もっとできるはず
と自分を追い込み続けると、心も身体も疲弊してしまいます。
完璧主義の苦しさは、「高い目標を持つこと」そのものではなく、「満点以外を認められなくなってしまうこと」にあります。
たとえ99点できていたとしても、足りない1点ばかりに意識が向くと、自己評価は下がり、不満や焦りが残り続けます。その状態が続くことで、「十分できているのに苦しい」という感覚につながっていくのです。
大切なのは、“完璧にやること”ではなく、“続けられる形に調整すること”です。
「できていないこと」より、「できていること」に目を向ける
完璧主義の人ほど、できなかったことや不足している部分に意識が向きやすくなります。
しかし実際には、
●今日も起きて生活している
●不安を抱えながらも仕事や育児をしている
●慣れない環境で日々を回している
それだけでも、私たちは日々、十分エネルギーを消耗しています。
完璧主義をやわらげる第一歩は、「まだ足りない」ではなく、「すでにやれている部分」にも目を向けることです。
たとえば99点できていたとして、足りない1点だけを見続けるのは、必ずしもフェアで客観的な見方とは言えません。足りない1点と同じくらい、あるいはそれ以上に、積み重ねてきた99点にも目を向けて評価することが大切です。
“少し頼る”を練習してみる
完璧主義の方は、「迷惑をかけたくない」という気持ちから、一人で抱え込みやすい傾向があります。
しかし、人に頼ることは「弱さ」ではありません。
●小さなお願いをしてみる
●「少し疲れている」と言葉にしてみる
●完璧な状態になる前に相談してみる
こうした小さな練習を重ねることで、心の負担は少しずつ軽くなっていきます。
視点を変えると、
●自分の得意なことは自分で行う
●苦手なことや専門性が必要なことは、人に頼る
これは「甘え」ではなく、むしろ合理的で効率的な方法とも言えます。
すべてを一人で抱えることが、常に最善の方法とは限らないのです。
専門家に相談するタイミング
頑張り続ける状態が長く続くと、心や身体にさまざまなサインが現れることがあります。
●常に疲れている
●眠れない
●イライラや焦りが強い
●自分を責める気持ちが止まらない
●「もう頑張れない」と感じる
こうした状態が続く場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することも大切です。
まとめ
完璧主義は、あなたがこれまで一生懸命に頑張ってきた証でもあります。
だからこそ、それを無理に“なくそう”とする必要はありません。
大切なのは、
・自分自身を追い込みすぎず、自分にとって居心地の良い視点や考え方を少しずつ見つけていくこと
・100点ではなくても、少し肩の力を抜きながら続けていける形を探していくこと
その積み重ねが、心を守ることにつながっていきます。
このコラムが、自分自身との付き合い方を見直すきっかけになれば幸いです。
【次回予告】
次号は、富田愛子先生が「男性の心の健康を守る」をテーマに、駐在員の方や働く男性へ向けた記事をお届けします。どうぞお楽しみに!
↓本記事が参考になりましたら、ぜひ👍をお願いいたします。↓