情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)専門家

就労ビザの認定スポンサー(Accredited Sponsor)になるには

概要
「認定スポンサー(Accredited Sponsor)」は、オーストラリア内務省が「一時的技能不足ビザ(TSS)」(サブクラス482)または「熟練雇用者スポンサー地域(暫定)ビザ(SESR)」(サブクラス494)の指名およびビザ申請を処理する際に優先されます。オーストラリアの就労ビザの認定スポンサーについて解説します。

オーストラリアで日本人を含む外国人を雇うためには、就労ビザのスポンサーになることが必要です。就労ビザのスポンサーになるためには、まず「スタンダード・ビジネス・スポンサーシップ(Standard Business Sponsorship:SBS)」に認定されなければなりません。

スタンダード・ビジネス・スポンサーシップ(Standard Business Sponsorship:SBS)
概要
・「一時的技能不足ビザ(Temporary Skill Shortage visa:TSS)」(サブクラス482)または「熟練雇用者スポンサー地域(暫定)ビザ(Skilled Employer Sponsored Regional (Provisional) visa:SESR)」(サブクラス494)のスポンサーになることができます。
・雇用者の滞在期間:ビザの種類による
・認定費用:420豪ドル
・スポンサーシップの有効期間:認定日から5年間

申請資格(Fair Work Act 2009)
・合法的に設立された企業で、現在、事業を行っている実態があること
事業はオーストラリア国内外を問いません。
・事業に関して不利な情報がないこと
オーストラリア内務省(Department of Home Affairs)が、スポンサーとしての適性に影響するような、事業または事業に関連する人物について不利な情報を知っていてはいけません。
もし内務省がその事業または事業に関連する人物について何か知っていたとしても、内務省がそれを無視することが合理的でなければなりません。
・オーストラリアでの事業に関する追加要件
現地の労働者を雇用した実績があること、または現地の労働者の雇用に積極的に取り組んでいることが証明されていること。
差別的な採用活動を行わないことを宣言すること。

認定スポンサー(Accredited Sponsor)
概要
「認定スポンサー(Accredited Sponsor)」には、スタンダード・ビジネス・スポンサーシップに認定された企業が申請できます。認定スポンサーになれば、TSS(サブクラス482)またはSESR(サブクラス494)に雇用予定者を指名、およびビザの申請をした場合、オーストラリア内務省において優先的に処理されます。

認定スポンサーによる指名の申請は、現行の省令に従って処理されます。2016年7月1日以降に企業が認定スポンサーのステータスを取得した場合、特定の低リスクのTSSまたはSESRの指名申請は合理化されたプロセスにより迅速に処理されます。

申請条件
(1)スタンダード・ビジネス・スポンサーシップ認定企業であること

(2)特定のビジネス・カテゴリーの特性を満たしていること
・カテゴリー1:連邦、州、準州政府機関
・カテゴリー2:オーストラリアの信頼できる貿易業者(Australian Trusted Trader)
・カテゴリー3:ビザ申請件数が少ない企業で、従業員の少なくとも85%がオーストラリア人
・カテゴリー4:ビザ申請件数が多い企業で、従業員の少なくとも75%がオーストラリア人
・カテゴリー5:オーストラリアへの大規模投資
(各カテゴリーの詳細については、https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/employing-and-sponsoring-someone/sponsoring-workers/becoming-a-sponsor/accredited-sponsor#Eligibilityを参照)。

認定申請のステップ・バイ・ステップ
ステップ1:申請する前に
スタンダード・ビジネス・スポンサーシップを申請する場合、または認定済みのスポンサーシップを更新する際に、認定スポンサーに申請できます。

ただし、認定スポンサーの資格を得るためには、企業は上記の5つの「特定のビジネス・カテゴリー」のうち少なくとも1つについて、詳述された要件を満たさなければなりません。申請者は、事業が「特定のビジネス・カテゴリー」のいずれかを満たしていることを示す証拠を提出しなければなりません。事業が「特定のビジネス・カテゴリー」の要件を満たしていない場合でも、スタンダード・ビジネス・スポンサーシップの申請は進められ、通常の方法で審査されます。

ステップ2:オンライン申請
1.ImmiAccount(https://online.immi.gov.au/lusc/login)にログインする。
2.TSS(サブクラス482)のスポンサーシップの更新を行う。
3.書類を添付する。
4.申請料を支払う(申請料が支払われるまで、内務省は申請を処理しない)。
5.申請登録番号(Transaction Reference Number:TRN)を控えておく。

認定スポンサーになるメリット
認定スポンサーのステータスは、就労ビザ(外国人労働者)のスポンサーシップを定期的かつ継続的に必要とする、オーストラリアの企業に与えられます。認定スポンサーが申請したビザは、内務省から優遇され、ビザ取得までの時間が短縮されます。これは、TSS(サブクラス482)の雇用予定者の指名やビザ申請の処理に3カ月以上かかることもある現在の移民状況において、特に重要なことです。

認定スポンサーは、基本給が7万5000豪ドルを超えるANZSCO(Australian and New Zealand Standard Classification of Occupations:オーストラリアとニュージーランドの職業定義)レベル1および2のほとんどの職種を含む指名について、合理化された処理を受けることができます。

注意事項:
本稿は法的アドバイスを目的としたものではありません。必要に応じて専門家の意見をお求めください。
Liability limited by a scheme approved under Professional Standards Legislation

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