情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)専門家

雇用主指名暫定ビジネスビザ(Temporary Skill Shortage visa(Subclass 482))の詳細

概要
オーストラリアの一般的な駐在員ビザには、「雇用主指名暫定ビジネス(Temporary Skill Shortage:TSS)」ビザ、すなわち「サブクラス482(Subclass 482)」の中期ストリームと短期ストリームの2種類があります。本稿では、これらについてくわしく説明します。

申請の条件
・対象となる「中・長期熟練職業リスト(Medium and Long-term Strategic Skills List:MLTSSL)」にある職業に就くことができる。
・推薦された職業または関連分野で、少なくとも2年の関連実務経験があること。
・その職業に必要な技能評価がある場合、その技能評価を受けていること。
・免除されない限り、スポンサーである雇用主または関連企業でのみ働くこと。
・英語能力の最低基準を満たしていること。

サブクラス482(中期ストリーム)保持者ができること
・最長4年間(香港パスポート保持者の場合は最長5年間)、スポンサーである雇用主のためにオーストラリアで就労。
・就学が可能(政府の補助は受けられない)。
・ビザの有効期間中は何度でもオーストラリアへの往復が可能。
・要件を満たせば、その後、永住権の申請が可能。
「地域職業リスト(Regional Occupation List:ROL)」に職業が掲載されている適格なTSSビザ保持者は、雇用者指名制度(Employer Nomination Scheme:ENS)、一時滞在移行(Temporary Residence Transition:TRT)を通して申請することができる。このパスウェイは2022年7月1日より2年間のみ利用可能である。
このビザでは、雇用主は、申請者が「中長期戦略技能リスト(MLTSSL)」に記載されている職業に就くため、該当技能を必要とする業態でなくてはなりません。

申請段階
・第1段階:雇用主が提出するスポンサーシップ申請書
申請者の雇用を希望する雇用主の詳細を提供する。
・第2段階:雇用主が提出する指名申請書
補充されるポジションの詳細、申請者および家族の詳細を提供する。
・第3段階:雇用主により提出されるビザ申請書
申請者がどのように指名された職種に熟練しているかの詳細と、申請者および申請書に含まれる家族の個人情報を提供する。

費用
・スタンダード・ビジネス・スポンサーシップ(Standard Business Sponsorship:SBS)料金
スポンサー料は420豪ドル。
指名(ノミネーション)料は330豪ドル。
・スキリング・オーストラリア基金(Skilling Australians Fund:SAF)
SAFは、オーストラリア永住権保持者やオーストラリア国民にトレーニングを提供するための政府基金である。
小規模企業に対するSAF徴収金:申請年数×1,200豪ドル。
大企業のSAF徴収金:申請年数×1,800豪ドル。
注:SBS料金およびSAF徴収金は雇用主が支払う必要があり、ビザ申請者に転嫁することはできない。
・ビザ申請料金
ビザ申請料金は、申請者本人と18歳以上の扶養家族1人につき、3,035豪ドル。
18歳未満の扶養家族1人につき、760豪ドル。
・その他、写真、英語テスト、健康診断、警察証明書、戸籍謄本等の費用がかかる。

2.サブクラス482(雇用主指名暫定ビジネス(TSS)ビザ)の短期ストリームについて
TSSビザは一時的なビザで、スポンサーとなる雇用主の下でフルタイムで働きながら、オーストラリアで生活することが許可されます。TSSビザは、扶養家族を含めて申請することができます。

申請の条件
・対象となる「短期熟練職業リスト(Short Term Skilled Occupation List:STSOL)」にある職業に就くことができる。
・指名された職業または関連分野で、少なくとも2年の関連実務経験があること。
・その職業に必要な技能評価がある場合、その技能評価を受けていること。
・免除されない限り、スポンサーである雇用主または関連企業でのみ働くこと。
・英語能力の最低基準を満たしていること。

サブクラス482(短期ストリーム)保持者ができること
・最長2年間(香港パスポート保持者は最長5年間)、または国際貿易義務(International Trade Obligation:ITO)が適用される場合は最長4年間、スポンサーである雇用主のためにオーストラリアで就労。
・ビザの有効期間中は何度でもオーストラリアとの往復が可能。
・要件を満たせば、永住権を申請可能。
「サブクラス457」およびTSSビザの短期ストリーム保持者は、雇用者指名制度(ENS)、一時滞在移行(TRT)を通して申請することができる。このパスウェイは2022年7月1日より2年間のみ利用可能である。

申請段階
・第1段階:雇用主が提出するスポンサーシップ申請書
申請者の雇用を希望する雇用主の詳細を提供する。
・第2段階:雇用主が提出する指名申請書
補充されるポジションの詳細、申請者および家族の詳細を提供する。
・第3段階:申請者により提出されるビザ申請書
申請者がどのように指名された職種に熟練しているかの詳細と、申請者および家族の個人情報を提供する。

費用
・スタンダード・ビジネス・スポンサーシップ(SBS)料金
スポンサー料は420豪ドル。
指名(ノミネーション)料は330豪ドル。
・スキリング・オーストラリア基金(SAF)
SAFは、オーストラリア永住権保持者やオーストラリア国民にトレーニングを提供するための政府基金である。
小規模企業に対するSAF徴収金:申請年数×1,200豪ドル。
大企業のSAF徴収金:申請年数×1,800豪ドル。
注:SBS料金およびSAF徴収金は雇用主が支払う必要があり、ビザ申請者に転嫁することはできない。
・ビザ申請料金
ビザ申請料金は、申請者本人と18歳以上の扶養家族1人につき、1,455豪ドル。
18歳未満の扶養家族1人につき、365豪ドル。
・その他、写真、英語テスト、健康診断、警察証明書、戸籍謄本等の費用がかかる。

注意事項:
本稿は法的アドバイスを目的としたものではありません。必要に応じて専門家の意見をお求めください。
Liability limited by a scheme approved under Professional Standards Legislation

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