情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)専門家

豪州での役員責任
90年代に山一、拓銀、大倉商事等の大型倒産が有りました。其々オーストラリアに現地法人が有り、駐在員がおりました。本社が倒産した際に、現地法人の役員は責任を問わされたのでしょうか?
駐在されていた多くの方々は本社がその様な経営危機に入っているとは夢にも思っておりませんでした。或る駐在員の方はその日ゴルフ場におりました。
本社が倒産した場合、現地法人の役員の責任は現地法人の債権者に有ります。当然、現地法人を清算する方向に進む訳ですが、その際に債権者にお支払い出来る十分な資産が現地法人に有るのか無いのかが重要になります。国際企業の倒産の場合、豪州のみならず、日本そしてその他の多くの国々で管財人が指定されます。
現法と親会社の売り掛け金の関係はどうなっているのか?
親会社が債権者になるのか又は債務者になるのか?
現地法人が全ての債権者にお支払い出来れば、駐在員個人が責任追及される事は有りません。しかし、出来ない場合、債権者又は管財人は駐在員個人を訴訟の対象とする可能性が有ります。どの様な場合、訴訟の対象となるのか?
現法の役員又は管理者である駐在員が債権者に対して、期日以内にお支払い出来るか否かに疑問を持ちながらも、購入を続けていた場合個人的に債権者から責任を問われます。当然、本社の経営危機を存知上げていれば、現地法人として商売を続ける事は危険で有ります。
本社の経営危機の噂は聞いたが、其れを調査せず、商売を続けた場合はどうなるのでしょうか?
現法の役員又は管理者の場合、現法の支払い能力に問題が出る可能性が将来有るので有れば、其れを調査する義務が有ります。
自分にはそんな能力はないので、毎日ゴルフ場に行き、会社を無視して良いのか?
現法の役員又は管理者は専門家を雇い調査する義務が有ります。

 

労働環境及び労働法(買収する際の留意点)
間もなく、競馬のメルボルン・カップです。従業員は平日でもお昼頃から外出をし、事務所は静かなものです。豪州では生活を楽しむ為にその手段としてお仕事をするのでありますから当たり前と言えば当たり前です。生活を犠牲にしてまで勉学とかお仕事に励む国民とは大分異なります。
不思議なのは大学世界ランキングを拝見致しますと、豪州の大学が日本の大学より上位に来ております。残念ながら職場世界ランキングを未だ見つけておりません。小生もシドニー大学に通いましたが、覚えていることはトイレの汚さと、エアコンが効かない為、夏は暑い、冬はコート着用で聴講した事です。それに引き換え上智大学はトイレもそこそこ綺麗で、冬場は快適でした。
勉強しやすい環境では日本の方が上の様です。但し、勉強する学生は少なかった様ですが?                               職場は如何でしょうか?
豪州は働き易いというよりは働かない環境です。豪州の最低賃金法の基では休暇中の職員の方が仕事をしている職員より多目のお給料を支払えます。この法的解釈は休暇中は基本給しか頂けない為、残業代を補う形で17.5%の上乗せ賃金が支払えられます。
豪州では働くインセンテイブを見つけ出すのが難しい様です。豪州のマクドナルドは直営店を持たない方針とお伺いしております。全てフランチャイズ店との事です。直営店では利益を出す事が難しい為と言われております。豪州では社員は働かない。働くのは経営者のみ?
経営リスクを取らせない限り豪州では人は仕事をしない様です。買収した企業の経営者にリスクを取らせない限り利益を出すのは難しいかも知れません。上場したままであれば自社株を持たせるのが一番ベストと思料されます。上場を取り消すのであれば、プロフィト・シェアー以上の物が必要と思料されます。
働かせる為には基本給無しのプロフィト・シェアーのみの様な労働対価を与えるべきでしょう。但し、生活がありますのである程度の前払い金は必要でしょうが?
注意事項:
本稿は法的アドバイスを目的としたものでは有りません。必要に応じて専門家の意見をお求め下さい。
Liability limited by a scheme approved under professional Standards Legislation.
• 本稿は、特定の国民性やや文化等をステレオタイプに当てはめることを意図したものではありません。

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