情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)専門家

雇用主指名暫定ビジネスビザ(482 Temporary Skill Shortage Visas)

移民局が定めたリスト(CSOL)に掲載されている職種(Skill)保有者が、雇用主から雇用契約を受けた場合に申請可能になる2年又は4年間の暫定ビザ です。雇用主側にも多くの条件が課せられます。 海外長期赴任に伴う、取得ビザもこのタイプです。雇用主事業者がオーストラリアか海外かは関係なく、オーストラリアに雇用ベースがあり、事業運営が豪州国 内であり、豪州政府に納税義務をおっている事業母体があることが雇用主の一つの条件になります。
482の申請は3パートに分かれています(実際には3つの申請を同時に行った方がプロセスが早いので同時に行う)。まず、Sponsorshipの申請、Nominationの申請、VISAの申請です。

条件(Criteria)

1. 雇用主側(スポンサーシップSponsorship)

雇用主が、ビザのスポンサーとなるに適しているか審査。
– 合法的なビジネス運営がなされている
– 過去の業務実績が十分なものである
– ビジネス運営において、適切なトレーニングプログラムを組んでいる

2. ポジションノミネーション(Nomination)

– 申請ポジション(Skill)が CSOL (Consolidated Sponsored Occupations List)に掲載されている。
– 年間報酬が最低規定金額を確約できる
– 雇用契約がオーストラリアの労働法に批准したものであること。(ポジションが、オーストラリア人を雇用した場合と同様の内容となる事)

3. 申請者アプリケーション(Visa Application)

申請者は、ノミネートされたポジションにて就労するためのビザ申請を行います。主な申請条件は以下:
– ポジションに適するSkillを保有している事を証明する。
– 健康状態及無犯罪経歴を証明する。

雇用主指名永住ビザ(Employer Nomination Scheme(ENS) Subclass 186 Visas)

482の永住権版と言えます。保有者が、諸条件が揃った時点で、ENSに切り替え申請するケースが最も多いですが、直接ENSに申請する 事も可能です。ただし、482よりも、要求されるスキルレベル(Skill Level)は高いと言えます。(482では求められなかったSkill AssessmentがENSでは求められる等)

2つの申請ステージ(ENS Stages)

S186(ENS)の申請には2つのステージがあります:

雇用主ノミネーション(Nomination):

雇用主がビザのスポンサーになるのにふさわしいかの審査です。主にビジネスが良好か、経営状態を審査されます。

申請者アプリケーション(Visa Application):

これには下記、3つのパスウェイがあります。移民局はSkill Assessmentの提出、英語力の証明、健康診断、無犯罪証明書の提出を求めます。

3種類の申請(Application Pathways):

ENSには下記3種類の申請方法があります。

1. Temporary Residence Transition:

既に、482にて上記エリアにて2年以上就労している人が申請可能。この場合、Skill Assessmentは不要で、英語力はIELTS6レベルです。

2. Direct Entry Stream:

Skill Assessmentの提出が求められ、なおかつそのSkillで3年以上の職歴を有していることが条件です。英語力はIELTS 6レベルが必要になります。

3. Agreement Stream:

雇用主が「Labour Agreement」を持っている場合。

ENS申請の一般的な問題点(Common Issues with ENS Visas)

ENS申請には、482よりも高度なレベルの書類提出が求められます。特にENS申請においてよく聞く問題は以下の3点です:
– Skill Assessmentの提出。(ただし状況次第で避ける事が可能)
– 雇用主が実績のあるトレーニングプログラムを証明(”satisfactory record of training” requirement)
申請者が、英語力・年齢・スキルレベルで、規定を満たしていない場合、その免除を受けるための証拠立て。

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