首藤まり子(Mariko SHUDO)
Mariko’s Wellness
Mental Health Counselor
精神科医・公認心理士(日本)
https://www.marikos-wellness.com


不安や焦りが止まらないとき

― 心と身体を落ち着かせるためのヒント ―

こんにちは。
心理カウンセラーの首藤まり子です。
これまで、海外生活におけるストレスや孤独感、そして生活習慣や身体に現れるサインについてお伝えしてきました。
今回は「不安や焦りが止まらないときの心の状態と、その対処法」についてお話しします。


不安や焦りの正体

不安や焦りは、本来、私たちを守るための自然な反応です。
危険や変化に備えるために、注意を高め、行動を促す役割があります。
そのため、不安そのものを完全になくすことはできません。
つまり、「不安をゼロにすること」を目標にすることは、適切な対処とは言えません。
大切なのは、「不安があっても、過度に振り回されずに過ごせる状態を目指すこと」です。
しかし海外生活では、
●先の見通しが立てにくい
●判断を自分でし続けなければならない
●周囲に頼れる人が少ない
といった状況が重なり、「警戒モード」が長く続きやすい環境にあります。
その結果、
●常に頭の中で考え続けてしまう
●最悪のケースを想像してしまう
●休んでいるつもりでも気が休まらない
といった状態になり、不安や焦りが止まらない感覚につながりやすいのです。


まずは「身体」から落ち着かせる

不安が強いとき、頭の中で考えを整理しようとしても、かえって思考がまとまらず、焦りが強まることがあります。
そういう時は、 考えるより先に、身体の状態を落ち着かせることを意識してみましょう。
心と身体は密接につながっているため、どちらからアプローチしても、もう一方にも変化を生じさせることができ、効果的だからです。
たとえば、
●呼吸をゆっくり吐く(吸う4秒/吐く6秒を数回)
●足の裏の感覚に意識を向ける
●手で触れているものの感触を確かめる
こうしたシンプルな方法でも、身体の緊張がゆるむと、心も少しずつ落ち着いていきます。


「今ここ」に戻るためのグラウンディング

こうしたアプローチは、『今ここ』に意識を戻す「グラウンディング」と呼ばれる方法の一つです。
不安が強くなると、意識は「まだ起きていない未来」に引っ張られやすくなります。
そのときに、あえて身体や感覚に注意を向けることで、思考のループから距離を取ることができるようになります。
すぐに実践できる方法として、「5-4-3-2-1グラウンディング」を紹介します。
●見えるものを5つ
●触れられるものを4つ
●聞こえる音を3つ
●感じる匂いを2つ
●味を1つ
上記の順番に、対象の色や形、感触などを意識しながら挙げていきます。
慣れれば数分でできるシンプルな方法ですが、思考の流れがゆるみ、不安が少し落ち着いていく感覚が得られるでしょう。


一人で抱え込まないために

不安や焦りが続くと、
●こんなことで頼ってはいけない
●自分で何とかしなければ
このような思考になりがちです。
しかし、不安が強いときほど視野は狭くなり、一人で考えられることには限界があります。
●信頼できる人にちょっとだけでも話してみる
●同じ立場の人と情報を共有する
●SNSで苦しい心の内を少しだけつぶやく
こうした関わりは、問題を解決するためだけでなく、安心感を取り戻すための大切な手段でもあります。


環境を少し変えるという選択

不安が頭の中でぐるぐるしているときは、同じ場所にとどまり続けることで、思考も固定されやすくなります。
そのようなときは、環境を少し変えることで、視覚や音、空気感といった新しい感覚情報を取り入れてみましょう。こうした感覚刺激に意識が向くことで、思考の流れがゆるみ、不安から少し距離を取ることができます。
●少し外に出て歩く
●カフェや公園など、環境を変えてみる
●日常のルーティンを少しだけ変えてみる
といった小さな変化でも、気分や視点が切り替わることがあります。
一方で、疲れが強いときは、無理に外に出るのではなく、自宅で安心できる環境を整えることも大切な選択です。


専門家に相談するタイミング

多くの不安や焦りは、環境や状態の変化とともに軽減していきますが、以下のような状態が続く場合は、専門家に相談することを検討しましょう。
●不安や焦りが長く続き、日常生活に支障が出ている
●眠れない、食事が取れないなど身体への影響が強く出ている
●動悸や息苦しさが繰り返し起こる
●一人で抱えるのがつらいと感じる
早めに相談することで、状態の整理や適切なサポートにつながります。


まとめ

不安や焦りを感じることは、決して特別なことではありません。
それは、変化の多い環境の中で、自分を守ろうとする自然な反応です。
大切なのは、それをゼロにしてしまうのではなく、付き合い方を身につけること。
身体を落ち着かせること、今ここに戻ること。
必要なときには人やサポートを頼ること。
その積み重ねが、不安との関係を少しずつ変えていきます。
このコラムが、日々の生活のヒントになれば幸いです。


【次回予告】
次号は、富田愛子先生が「女性の健康とホルモンバランス」をテーマにお届けします。どうぞお楽しみに!

↓本記事が参考になりましたら、ぜひ👍をお願いいたします。↓

Share This