首藤まり子(Mariko SHUDO)
Mariko’s Wellness
Mental Health Counselor
精神科医・公認心理士(日本)
https://www.marikos-wellness.com


孤独感との上手なつき合い方

― 海外生活で心の安定を保つために ―

孤独は「適応に失敗したサイン」ではなく、「適応し続けてきた心が発するサイン」

こんにちは。
心理カウンセラーの首藤まり子です。
これまで、愛子先生と一緒に
・海外生活のストレスが身体に現れるとき
・心に余白をつくるセルフケア
・睡眠・運動・食習慣を整える心身のリセット
についてお伝えしてきました。
今月は、これまでの流れを踏まえ、海外生活のなかで多くの方が一度は直面する「孤独感」 に焦点を当て、「孤独感との上手なつき合い方」をテーマにお話しします。

孤独を感じるのは、自然なこと
海外で暮らしていると、言葉や文化の違い、家族や友人との距離、環境の変化などから、ふとした瞬間に孤独を感じることがあります。
周囲に人がいても、
「分かり合えない」
「頼れる人がいない」
と感じることもあるでしょう。
こうした孤独感は、決して珍しいものでも、弱さの表れでもありません。
海外生活では、日常のあらゆる場面で「考え、選び、気を配る」ことが求められます。
言葉の選び方、人との距離感、文化の違いへの対応など、私たちは無意識のうちに多くのエネルギーを使っています。
そうした緊張や努力が続くなかで、ふと力が抜けたとき、疲労感や孤独感として気持ちが表に出てくることがあります。それは、心がこれまでの頑張りを知らせてくれているサインとも言えるのです。

孤独感がつらくなるときの心の動き
孤独感が長引くと、次のような思考が強まることがあります。
・「誰にも必要とされていない気がする」
・「周りはうまくやっているのに、自分だけ取り残されている」
・「弱音を吐いてはいけない、もっと頑張らなければ」
こうした思考が続くと、人との距離をさらに遠ざけてしまい、結果として孤独感が強まる、という悪循環に陥ることがあります。

「つながり方」は一つでなくていい
孤独感を和らげようとして、
「もっと人と関わらなければ」
「友達を作らなければ」
と自分を追い込んでしまう方もいます。
しかし、つながり方は一つではありません。
・たまに挨拶を交わす相手がいる
・同じ場所に行く習慣がある
・日本語で安心して話せる場がある
・誰かの文章や言葉に共感できる
こうしたゆるやかなつながりも、心にとっては十分な支えになります。
「挨拶を交わす場所がある」
「顔を知っている人がいる」
「安心できる言葉に触れられる」
こうした経験は、『自分がきちんと社会の中の一部として存在している』という感覚につながります。
孤独を感じていても、それは「孤立している」という意味ではありません。
つながりの形が、一時的に見えにくくなっているだけ、と捉えてみましょう。

孤独を感じたときにできる、小さな工夫
孤独感が強いときは、次のようなことを意識してみてください。
・「孤独を感じている自分」を否定しない
・一日の中で、安心できる時間や場所をつくる
・信頼できる相手に、短く気持ちを言葉にしてみる
・ひとりの時間と、人と関わる時間のバランスを見直す
孤独感は、「なくす」ものではなく、『今の自分の状態に気づき、負担が大きくなりすぎないよう微調整していくもの』です。
人との距離が近すぎたら、ひとりの時間を増やす。
ひとりで抱え込みすぎていたら、短い言葉で誰かに伝えてみる。
こうした小さな調整を重ねることで、孤独感は「つらさ」から「自分を知るサイン」へと変わっていきます。

専門家に相談するタイミング
多くの孤独感は、環境や心の状態が整うことで自然と軽くなっていきます。
しかし、以下のような状態が続く場合は、ひとりで抱え込まず、専門家に相談するタイミングかもしれません。
・孤独感が強く、気分の落ち込みが続く
・人と関わることが極端につらくなっている
・不安や焦りが強く、日常生活に支障が出ている
・「消えてしまいたい」と感じることがある
これらは、心が助けを必要としているサインです。

まとめ

孤独を感じることは、海外生活において決して特別なことではありません。
それは、新しい環境の中で懸命に生きてきた過程で、誰にでも起こりうる感覚です。
大切なのは、「孤独を感じてはいけない」と自分を責めるのではなく、自分にとって居心地の良い距離感で、人や社会とつながりを見直してみること
このコラムが、孤独感と少しやさしく向き合うきっかけになれば幸いです。

【次回予告】
次号は、富田愛子先生が「心が疲れたとき、身体が先に教えてくれるサイン」をテーマにお届けします。どうぞお楽しみに!

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