首藤まり子(Mariko SHUDO)
Mariko’s Wellness
Mental Health Counselor
精神科医・公認心理士(日本)
https://www.marikos-wellness.com
心をやさしく整えるセルフケア —— 日常の“余白”を意識する ——

こんにちは。
今月より、前号の富田愛子先生と交代で本コラムを担当させていただく首藤まり子です。私は長年日本で精神科医として経験を重ねてきましたが、ご縁あって、現在はメルボルンを拠点に、対面・オンラインでのカウンセリングやセミナーを行っています。どうぞよろしくお願いいたします。
前号では、愛子先生が海外生活の「見えないストレス」と身体のサインについて書かれていました。
海外に暮らしていると、いつの間にかがんばりすぎてしまい、不調が出てようやく自分の疲労に気付く・・これは、本当に多くの方が経験されてきたことだと思います。
12月は1年の終わりでクリスマスなどのイベントも盛りだくさん。心が少しざわつきやすい季節です。そこで今月は、“やさしく整えるセルフケア” をテーマに、日常の中でできる小さなリセット方法をご紹介します。
1. 「整える」は、がんばることではない
「イメージがわかない」「難しい」「時間がない」「続かない」
“セルフケア”と聞くと、プレッシャーを感じる方は少なくありません。
しかし、心を整えるというのは、何か大きな行動を起こすというよりも、心にほんの小さな“余白”を作るイメージで大丈夫です。
たとえば、深呼吸を3回、朝カーテンを開けて光を入れる、寝る前の5分間の片づけ。
そんな“1〜2分の行為”でも、心に余白を生み出し、脳の緊張をゆるめることができるんです。
2. 今日からできる、やさしい心のリセット法
① 呼吸は「深く吸う」ではなく「ちょっと長めに吐く」
海外生活は、言語・文化・環境の違いに適応し続ける日々。
そこから来る不安や緊張は浅い呼吸につながり、浅い呼吸はさらに不安や緊張を高める、という悪循環に陥りやすくなります。
おすすめは、
吸う:4秒 → 吐く:6秒 を3セットだけ
ポイントは、「深く吸おう」と頑張る必要はなく、吐く息を意識すること。自然と深い呼吸につながり、心に余白が生まれます。
② 思考を“書き出す”というメンテナンス
心がざわついているときは、頭の中が散らかっていて整理できていない状態です。
そういうときは、A4の紙に、頭の中にあることを箇条書きで書き出してみます。
外に吐き出すだけで、ほんの少し脳内に余白が生まれ、それがそのまま心の余白につながります。
ポイントは「きれいにまとめようとしないこと」。順番も気にしない、言葉遣いも気にしない。とにかく“外に出す”だけで十分です。
③ 「1日15秒の肯定」習慣
自分自身への否定的な声かけは、暗示のように自己肯定感をじわじわと下げてしまいます。逆に、肯定的な声かけは、心の余白を生み出すサプリメントのようなものです。
肯定的な声かけはなかなか難しいかもしれませんが、
●「よくやってるよ」:疲れている自分をねぎらう
●「完璧でなくていい、そんな日もあるさ」:許可を出す
●「今こうして、自分のためにコラムを読んでる、すごい」:褒める
ほんの短い“自己への声かけ”で十分です。
3. まとめ —— やさしい一年の締めくくりを
心のセルフケアは、「努力して何かを達成する」行為ではなく、心に小さな余白を生み出すための、ほんの短い“習慣”の積み重ねです。
ご紹介した3つの方法は、どれも1分前後でできる、ごくシンプルなものばかりです。
●呼吸をゆっくり吐く
●頭の中を書き出して整理する
●今日の自分に短い言葉をかける
こうした“小さな余白づくり”は、慌ただしい生活の中でも取り入れることができると思います。
皆さんの12月が、少しでも穏やかに過ごせますように。
このコラムが、日常を整えるヒントになれば幸いです。
【次回予告】
2026年1月は、富田愛子先生が「新しい年を健やかに迎えるための心身リセットー睡眠・運動・食習慣ー」をテーマにお届けします。
新しい年のスタートにきっと役立つ内容です。どうぞお楽しみに!