学齢期のお子さんを持つ親にとっては、彼らの将来を左右する初等・中等教育をどうするかが大きな関心事のひとつではないでしょうか。

オーストラリアでは教育制度の自由度が高く、多様な選択肢が提供されているので、その学校や制度をよく知り、よりふさわしい教育の機会を選び取ることができます。ここでは、オーストラリアの基本的な教育制度をご紹介します。

(情報提供:JAMS.TV社)

1.教育制度

オーストラリアの教育制度は州によって異なります。ニュー・サウス・ウェールズ州の義務教育は6歳〜15歳ですが、小学校(Primary School)に併設の準備学年が義務教育のスタートとなります。準備学年はKindergarten、通称Kindyと呼ばれ、小学校への入学準備が目的で、集団行動や数字の読み方、簡単な読み書きなどを学びます。小学校入学は6歳ですが、Kindyは入学年の7月31日までに5歳になる児童が対象です。

初等教育はKindyから6学年までを指します。授業は月〜金9:00〜15:00で、年間4学期制。学期の間には年に4回のスクールホリデー(学期間休暇)があります。

中等教育(Secondary School)は7学年〜12学年までの一貫教育で、日本の中学・高校にあたります。普通校のほかに、選抜校(Selective High Schools)や専門校(Specialist Schools)の公立校のほか、カソリック系などの私立校があります。義務教育は15歳(10学年)までですが、生徒の大半は11・12学年に進み、大学などの進学準備をします。進学しない生徒は、職能訓練科目のVET(Vocational Education and Training)を選択することも可能です。

2.初等教育

(1)公立校と私立校

公立校の授業料は基本的に無料です。私立は公立と比べて多額の費用がかかりますが、その分補習授業があったり、科目の選択肢が多かったり、学校の設備が整っているなど、生徒1人にかかる付加価値は高いといえます(私立校はカソリック系の学校とその他の独立系とに分けられます)。

学力は平均すると私立の方が高いといわれていますが、公立でも選抜校などは学力が高いため、私立の方が必ずしも優れているとは限りません。さらに、公立校でも学力重視、文化行事や芸術・スポーツ重視、少人数制、教科の多様化、などそれぞれ個性を持っているのもオーストラリアの学校教育の特徴だといえます。

(2)授業料

公立校の場合授業料は基本的に無料ですが、学校行事のキャンプや遠足、教科書や補助教材、制服などは自己負担となります。費用は学校や選択科目によってかなり幅があります。

そのほかVoluntary Contributionという自主的な経費負担もあります。また寄付集めのFundraisingがあり、保護者がボランティアでチョコレートなどを販売してお金を得ています。

(注)一時滞在者の場合

駐在員などのビジネス・ビザで滞在し、子どもを地元の公立学校に入学させる場合は、授業料は無料ではなく、規定の料金を支払わなければなりません。ニュー・サウス・ウェールズ州の場合は、学年により年間約$5,000または$6,000の授業料と手数料$110がかかります。観光ビザの場合は3カ月(13週)までの就学が可能で、$3,412~$4,550の授業料と手数料$110となっています。

(3)入学手続き

保護者は様々な選択肢の中から各自の判断で子どもに合った学校を選び、入学手続きをとる必要があります。一般的には、子どもの就学年の1年前になったら希望する学校に予約を入れ、下見した後、校長と面接を行います(学校によっては「入学説明会」を開き、一括で対応しているところもあります)。

その後、子供の生年月日を証明する書類と一緒に願書を提出しますが、人気校は早々に定員を超え、ウェイティング・リストに回されることもあります。この場合は、先着順(公立は地元の学区優先の先着順)になるため、第2希望の学校を予め用意した方がよいです。学校探しはある程度早めに心がけておいたほうが良さそうです。

【シドニーの日本人学校/日本語補習校】

シドニー日本人学校
Sydney Japanese International School
112 Booralie Road, Terrey Hills NSW 2084
電話:9450-1833
www.sjs.nsw.edu.au

シドニー日本語土曜学校 
Sydney Saturday School of Japanese
借用校(Cammeray Public School)
Palmer Street, Cammeray NSW 2062
電話:0411-155-585

JCS日本語学校シティ校
JCS Japanese School City
借用校(Ultimo Public School)
Cnr Quarry & Wattle Streets, Ultimo NSW 2007
電話:0407-461-618
Email:jcs-jpschcity@hotmail.com
http://cityschool.japanclubofsydney.org

JCS日本語学校ダンダス校
JCS Japanese School Dundas
借用校(Narrabeen North Public School)
Namona Street, North Narrabeen NSW 2101
電話:0411-734-819
Email:jcs-jpschdundas@live.com
http://dundas.japanclubofsydney.org/index.html

JCS日本語学校エッジクリフ校
JCS Japanese School Edgecliff
借用校(Ascham School)
188 New South Head Road, Edgecliff NSW 2027
電話:0412-283-393
Email:jcs.edgecliff@gmail.com
http:// edgecliff.japanclubofsydney.org

3.中等教育

(1)中学・高校

オーストラリアの中等教育は、セカンダリー・スクール(Secondary School)と呼ばれ、日本でいう中高一貫の教育体制をとっています。細かい制度や呼称は州によって異なりますが、大きな枠組みで見ると、10学年(日本の高校1年)までが義務教育課程で、11・12学年が高等教育機関への進学準備課程となっています。

(2)学費

公立校の場合は年間約$5,000、私立校の場合は年間約$25,000~$40,000で、カソリック系の学校は独立系の学校より多少割安になっています。さらに、寄宿制の学校(Boarding School)の場合は、学費に加えて寮費(年間約$30,000以上)が必要になります。

学校によっては授業料の一部または全額が免除となる奨学金制度を設けているところもありますが、選抜試験に合格しなければならず、競争率もかなり高いです。

(3)普通校と専門校

セカンダリー・スクールの選択肢は小学校以上に幅広く、普通校のほかに、選抜校(Selective High Schools)や、語学、技術、農業、スポーツなどの専門校(Specialist Schools)があります。公立の普通校は、入学願書を出せば無試験で入れますが、それ以外は入学選考に合格しなければなりません。

(4)履修科目

義務教育では、一般科目のほか、日本に比べてより専門的な科目が選択できるのが特徴です。例えば第二外国語では、中国語、フランス語、ドイツ語、インドネシア語、イタリア語、韓国語、日本語の優先言語の他にも、約30言語が履修できます。また、コンピューターやテクノロジーといった実務的な科目も多くあります。ただし、学校によって得意・不得意分野があるので、何をどこで学ぶのかが学校選択の重要ポイントになります。

(5)州統一試験

第10学年を終了すると、それまでの学業成績の結果を記した義務教育修了証が発行されます。ニュー・サウス・ウェールズ州では、州統一試験(School Certificate Examination)が実施され、その結果も併せて記載されます。州統一試験は、英語、数学、科学、歴史、地理、公民の各科目です。

義務教育修了証があれば、10学年で卒業して就職したり、TAFEなどの職業訓練校へ進学することができますが、中等教育修了証を取得するために進学準備課程(11・12学年)に進むのが一般的です。

(6)進学準備学年

11・12学年の進学準備課程は、必修科目の英語に加え、大学やTAFEなどの高等教育機関で専攻する専門分野の基礎を学ぶという意味合いが強く、日本の大学1、2年時に履修する一般教養課程の一部も含まれています。そのため、幅広い履修科目の選択肢の中から、将来の進路にある程度関連した科目を選ぶ必要があります。

規定の単位を取得すると、履修科目の成績を付記した中等教育修了証が受けられます。これには学校の成績と統一試験の結果が併せて出されることになります。高等教育機関に進学する場合は、この修了証の評価をもとに州教育委員会がスケーリングして、スコア(偏差値)が出されます。

高等教育機関は専攻コースごとに入学基準となる指数、大学入学指標(Universities Admission Index, UAI)が決められているため、取得したスコア(ATAR、Australian Tertiary Admission Rank)が基準以上であれば希望するコースに入学できます。つまり、各大学には入学試験がなく、中等教育の卒業試験(州統一試験)が入学試験を兼ねていて、11・12学年の進学準備期間を通しての長期的な成績評価-2年間に取得した単位数とその間に取り組んだ課題の成績と、この統一試験の結果が、各大学の学部への入学基準となります。

(7)HSC(卒業資格認定試験)

ニュー・サウス・ウェールズ州の場合は、HSC(Higher School Certificate Examination)と呼ばれる州統一試験が、毎年10~11月に実施されます。HSC認定科目の履修期間は2年から最高5年で、中退した人や、働きながら勉強する学生にも門戸が開かれています(認定科目は100以上にもおよびます)。

それぞれの科目の評価は、学校の成績と統一試験の結果を同比率で計算し、最低の基準を50とした100段階評価で、どこまで理解してどれだけの能力があるか明確に表示されます。

HSC試験は、卒業試験を兼ねていますので全員が試験を受けます。必修は英語の2Unitだけですが、大学の理系に進む場合は、数学や物理、科学などを3~4Unit履修しないと合格は難しいようです。試験は択一式よりもエッセイと呼ばれる論文記述式が多いので、それに合わせた勉強が必要です。

大学に行く際は、HSC試験結果を科目の難易度で換算し直し、微調整(スケーリング)が行われます。これに試験結果から割り出した学校の評価(School Assessment)が加算され、これをもとに、大学は学科ごとに入学基準を決めて足切りします。

4.高等教育

(1)大学とTAFE

オーストラリアの高等教育機関には、大学とTAFEと呼ばれる専門教育機関があり、TAFEとほとんどの大学は州政府の管轄下にあります。大学教育には画一的な基準があるわけではなく、むしろ各大学の個性が尊重され、独自性が出ていることが特徴です。 

①大学では学士号(Bachelor Degree)、修士号(Master)、博士号(Doctorial)のコースのほか、学士課程より短期で基礎を学ぶ「Diploma」「Associate Diploma」「Advanced Certificate」「Certificate」の各コース、学士号取得後に専門分野を実践的に学ぶ「Postgraduate Diploma」コースなどがあります。学位取得期間は、短期コースが半年~3年、学士号が3年(医学は6年、建築・歯科・獣医は5年)、修士号が1~2年、博士号が3年というのが一般的です。

学士課程では、日本のように1~2年で一般教養科目を履修するのとは違い、内容はすべて専門分野です。授業は、講義(Lecture)と、ゼミ形式で研究を行うチュートリアル(Tutorial)からなり、出席はもとより、エッセイやレポートの内容、学期末と年度末に行われるテストなどから総合的に評価が出されます。

②TAFE(Technical and Further Education)は、日本の専門学校に相当し、コースは園芸、福祉からビジネス、コンピューターまで幅広く、期間も6カ月から3年のコース(Certificate, Diploma & Advanced Diploma)のほか、学校によってはごく短期間の一般教養・趣味のコースもあります。また、ワインメーキングや競馬調教、飛行機操縦といったコースもあります。

TAFEに通う社会人は、専門・関連分野をさらに勉強してキャリア・アップを狙うか、転職に備え新しい知識を身につける人がほとんどで、そのためパートタイムや自宅で学べるコース(Open Training and Education Network-Distance Education)が充実しています。また、フルタイムで基礎を身につけ、仕事が見つかったら残りのコースをパートタイムで修了するということが可能なコースもあります。

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