情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)専門家

豪州法考察1

立法

豪州では州に拠り刑法が異なるのはご存知でしょうか?NSW州では有罪でもQueensland州では無罪になる事が有ります。例えば、ご主人に唆されて罪を犯した奥様の場合です。NSW州では無罪でもSouth Australiaでは有罪になるものがあります。例えば売春です。此れは、連邦化される前其々の植民地が其々の独立した立法行政司法機関を所持していた名残で有ります。
以前米国で禁酒令が出され、お酒を売ることが違法行為になりました。お酒に拠る犯罪が多い為、犯罪をなくす為禁酒令が出されたと思量されます。シンガポールではお酒に対して高い税金を掛けております。例えば豪州で10ドル位で購入出来るCask Wineがシンガポールでは100ドル位致します。犯罪を減らすと共に国民に酒に酔わず、仕事をして貰う意図がシンガポール政府には有ると思量されます。
売春にしてもお酒にしても国民の楽しみで有る事には間違い有りません。しかし、これ等が犯罪を犯す温床である事も否定出来ません。多くの売春婦は麻薬中毒です。麻薬を買うお金が欲しいから売春を続ける。此れにより覚せい剤が国内に広まり、犯罪がまた増えます。
国の政策を遂行する為法律を作りますが、贅沢を禁じ、風俗を粛清した水野忠邦のように暴徒化した国民に襲撃された例もあります。民主主義であろうが、独裁主義であろうが、国民から嫌われては政治を続ける事は困難になります。国民に人気の有る法律を作る事が政治家の命で有ります。理想主義に生きた政治家もおります。しかし、長続きしませんでした。綺麗な水にお魚さんは住まないという言葉がある様に、多くの国民が楽しめる法律を作る事が政治家を長命にします。
しかし、楽しむ事と人類の進歩は同席していないと思われます。

交通違反

速度違反を社用車ですると数千ドルの違反金支払いのお手紙が会社に届きますが、会社でなく、運転者自身が支払いをすると数百ドルに下がります。カメラによる速度取締りは警察自身の収入確保の為と看做されます。違反を犯すのは会社ではなく個人である運転者であるにも拘わらず、車の所有者である会社に支払いをさせ、更に高額な金額の支払いを命じてきます。先日パース出張の際に西豪州在の方に尋ねた所、西豪州でもNSW州と同じ様な罰金体制との事でした。各州の警察共に取り易い所から収入を得ていると思量されます。
但し、社用車で有りますと、違反者の認定が難しい場合がある為、会社に対する支払いは、請求額を上乗せした過去の経緯が警察である取り締まる側に有ります。しかし、法人払いか個人支払いかで一桁まで違うと妥当性に欠けるのではないでしょうか? 基本的には違反点数を会社のお金で買っている様なものではないでしょうか? 罰金は税法上会社の経費と看做されない為、更に、法人税分の経費が会社に掛かる事になります。
此処で考察しなければならない事は、雇用主である会社に社員である非雇用主の不法行為に対して責任が有るのかと言う点ではないでしょうか?
慣習法上は非雇用主が職務上第三者に損害を与えた場合、雇用主に賠償義務が発生致します。但し、社用車運転が週末の場合職務中と看做されるのでしょうか?
勤務中に社員が違反を起こした場合であれば、雇用主である会社に支払いの義務が有るのでしょうか? 支払いをしなければ検察に会社は起訴されますが、社員の違法行為まで会社には責任は有りませんので、会社が支払いをした反則金を社員に返済する様求める事が出来ます。
違反した社員が判明すれば、その者に支払いをさせるのが一番簡単で有りますが、その違反者の点数が減点される事になります。不明であれば、会社は高額の違反金を支払う事になりますが、違反者は減点から逃れる事が出来ます。

注意事項:
本稿は法的アドバイスを目的としたものではありません。必要に応じて専門家の意見をお求めください。
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