鳥居泰宏/ Northbridge Family Clinic


 

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、その影響によりあらゆる合併症が生じてきます。主なターゲットとなる臓器は脳、心臓、腎臓、目、それに皮膚/血管/神経です。

慢性の病気ですので、血糖値のコントロールがよくできているかを見る以外に、これらの臓器に損傷がおこっていないかということを定期的にチェックしておく必要があります。

また、血糖値以外に血圧とコレステロール、中性脂肪が上がっていれば相乗効果により動脈硬化がすすみます。動脈硬化からおこる虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)や脳卒中を防ぐには血圧とコレステロール、中性脂肪もよくみておかなければなりません

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、その影響によりあらゆる合併症が生じてきます。主なターゲットとなる臓器は脳、心臓、腎臓、目、それに皮膚/血管/神経です。

慢性の病気ですので、血糖値のコントロールがよくできているかを見る以外に、これらの臓器に損傷がおこっていないかということを定期的にチェックしておく必要があります。

また、血糖値以外に血圧とコレステロール、中性脂肪が上がっていれば相乗効果により動脈硬化がすすみます。動脈硬化からおこる虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)や脳卒中を防ぐには血圧とコレステロール、中性脂肪もよくみておかなければなりません。

腎臓

腎機能が低下すれば次のような症状がおこります。
*吐き気、嘔吐
*倦怠感、眠気
*高血圧

糖尿で腎臓が悪化していけば尿に排出される蛋白が多くなります。定期的に尿検査をして蛋白量をチェックする必要があります。
この場合、夜間に出た/溜まった尿を朝採りその中に含まれている蛋白量を量ります。このとき、尿に含まれるクリアチニンと蛋白の比も計算します。
1年に一度はこの尿検査をしなければなりません。

網膜は眼球の後部にある光を感知する部分です。糖尿がすすむと網膜出血、綿花状白斑(網膜線維層の損傷、多くは梗塞によってできた網膜表面の白くぼやけた部分で、細胞小器官の集まりからなる)、新生血管形成(正常では血管増殖のないような組織での血管増殖、あるいは組織における通常とは異なった種の血管増殖)などがおこり、視力が低下していきます。
視界がぼやけていき、放置しておくと失明することもあります。1年に一度は検眼師、あるいは眼科で網膜のチェックを受けることが大切です。

足(神経、血管)

糖尿病では末梢神経、特に足の末梢神経に障害がおこり、皮膚の感覚がにぶくなり、傷や火傷を負っても気づかず、化膿してしまったり、動脈硬化により血液の循環も悪くなり、傷がなかなか治らなかったりし、潰瘍や壊疽がおこることもあります。また、爪の手入れも良くし、嵌入爪などがおこらないようにしなければなりません。
6ヶ月に1回は足の診察を受け、必要ならば足治療医(Podiatrist)で足の手入れをしてもらわなければなりません。

動脈硬化の予防

動脈硬化をおこす大きな危険因子は糖尿病、高血圧、それに高脂血症です。これらの要素をよくコントロールしておかないと心筋梗塞、狭心症、脳卒中などの動脈硬化からおこる病気が発生しやすくなります。もうひとつ大事な危険因子は喫煙です。特に糖尿の人は禁煙をすることが大切です。

血糖値

目標値は次の表を参照して下さい。

食前        食後
正常値▼   4-6 mmol/L   4-8mmol/L
理想値▼   4-6mmol/L   <8mmol/L
そこそこ▼   6-7mmol/L   <11mmol/L
高過ぎ▼   >7mmol/L▼  >11mmol/L

また、HbA1Cという血液検査では過去3ヶ月のあいだの血糖値のコントロールをみることができます。この検査数値は6%以下が正常ですが、糖尿の場合、6-7%が理想範囲です。(HbA1Cは3-6ヶ月に一度のチェック)

血圧(3-6ヶ月に一度のチェック)

糖尿病の人は血圧が130/80以下に保つことが目標です。もし、腎機能が落ちていて尿蛋白が1日で1g以上出ているようでしたら125/75以下に保つことが大切です。糖尿による悪影響だけでなく、血圧が高すぎることによって腎臓に損傷を来します。
肥満なら体重を落とし、塩分とアルコールの摂取を控え、規則正しく運動もするなどとライフスタイルを変えても血圧が下がらなければ降圧剤も必要です。

高脂血症(1年に一度のチェック)

高脂血症(コレステロール、中性脂肪)も動脈硬化に貢献します。糖尿病の人は特に中性脂肪が上昇する傾向にあります。また、善玉コレステロール(HDL cholesterol)が下がり、悪玉コレステロール(LDL cholesterol)が上がり気味になります。糖尿病の患者さんの目標レベルは下の表を参照して下さい。

検査            目標レベル
総合コレステロール  <4.0mmol/L
LDLコレステロール   <2.5mmol/L
HDLコレステロール   >1.0mmol/L
中性脂肪         <1.5mmol/L

ライフスタイルの調整が必要です。食事は規則正しく摂り、脂肪分の摂取は少なくして下さい。特に飽和脂肪(saturated fat)を不飽和脂肪(monounsaturated か polyunsaturated fat)に変えるようにして下さい。
果物と野菜を多く食べ、魚を多く摂り、肉は脂肪分の少ない肉を食べるようにして下さい。また、定期的に運動もするように心がけて下さい。このようなライフスタイルの手段だけで数値が改善しなければコレステロールを下げる薬を使わなければなりません。また、糖尿で尿蛋白が出ていればたとえコレステロール値が目標範囲内でもコレステロールの薬が投与されます。あるいは年齢が60歳以上ならコレステロール数値が目標範囲内でもコレステロールの薬が使われます。

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