情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)


係争解説 Q&A形式

その4

Q1 連邦裁判所に依頼する係争案件はどの様なものでしょうか?
A1 例えば、会社法、知的財産法、移民法及び税法等は連邦裁判所扱いになります。

Q2 複雑ですね?契約が履行されない場合は州裁判所行き、株主や役員等のトラブルは連邦裁判所に行くと言うのは?州裁判所には、幾つか種類があった様ですが、ご説明願います。
A2  商法で損害賠償を求める場合、賠償請求金額により裁判所を選びます。高額であれば最高裁判所になります。次に高等裁判所になります。訴訟額が低額であれば地方裁判になります。

Q3 オーストラリアには資源でみますと石炭で有名なク―インズランド州やニューサウスウエルズ州と鉄鉱石で有名な西オーストラリア州が有ると思います。其々異なる州法をお持ちとの事ですがその根拠は何処にあるのでしょうか?
A3 各州が其々異なる英国の植民地で其々個別の植民地憲法を持っておりました。18世紀から始まった植民地初頭には英国の法律が適応されましたが、徐々に現地化されて其々の植民地で其々異なる法律に発展して行きました。その後1901年に連邦憲法が発布されました。しかし、20世末までオーストラリアの最高裁判所は首都のキャンベラでは無く英国に有りました。

Q4 オーストラリアが英国から独立したのは20世紀末と言う事でしょうか?
A4 各植民地がオーストラリアとして連邦化された時に、基本的に英国から独立致しました。この背景には北の脅威、つまり当時の日本の軍国化に対応する為、小さな植民地では日本から守れないと言う政治的背景が有りました。
しかし、元首は現在でも英国の国王又は女王です。法体系的には1980年の後半に英国から独立致しました。此れはオーストラリアの最高裁判所を英国植民地裁判所からオーストリア連邦最高裁判所に改めた事に依ります。

Q5 商法は州に依り異なる訳ですので、豪州企業と契約を結ぶ際如何したら宜しいのでしょうか?
A5 オーストラリアの企業と契約を結ぶ際に紛争解決条項を設け、何処の法律で紛争解決するのか予め明記しておいた方が賢明です。

Q6 裁判所も指定した方が良いとお伺い致しております。其処で疑問なのは裁判官に他国の法律を裁く能力が有るのでしょうか?例えば法律は日本、裁判所はニューサウスウエルズ州にする事は可能なのでしょうか?
A6 基本的には可能です。但し、裁判は遅れると思料されます。国際間での契約には国際商事仲裁条項を導入する事をお勧め致します。

本稿は法的アドバイスを目的としたものではありません。必要に応じて専門家の意見をお求めください。
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