ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

 

オーストラリアに駐在や長期滞在で初めて来た人は、必ずと言っていいほどこの国のサービス、サポートの悪さに驚く。最初の洗礼は高い家賃を払って初めて家を借りたときである。インスペクション時にいろいろ不具合を見つけて修理すると約束したことが、家に入ってから何日も経っても修理しにこない。電話をかけてもなかなか担当者がつかまらない。ようやく電話で話すことができても、謝らない、他人事のような口調で話すなど、とにかく日本のサービスに慣れた者としては腹の立つことだらけだ。このことは不動産屋に始まり、電気、ガス、電話局、インターネット、家具屋と延々と続く。私はこの国に来てもう25年近くになるが、このサービスの悪さはわかっているはずなのに、それでも時々ムカムカくることがある。

先日、固定電話が時々通じなくなるという問題とADSLインターネットが不通になるという問題が起こった。電話会社のサポートに電話して、オペレーターに事情を話した。オペレーターはおそらくフィリピン人の女性で、最近はオーストラリアではなく、フィリピンやインドで電話サポートすることが多い。このことに関しては別に不満はない。なぜなら私はオーストラリアでサポートが行われていたころを知っており、その時は、電話をかけて1時間以上待たされることがざらで、さらにオーストラリア人のサポートスタッフは不機嫌なことが多く、こちらの英語がうまくないと分かると、早口でペラペラしゃべって煙に撒き、逆にこちらの問い合わせ方がよくないと叱られたこともあった。まあそれに比べれば今のほうがまだましだと思っている。

しかし、まだましなくらいで決してよくはない。今回の問題も電話で丁寧に対応してくれてはいるが、まずはユーザー側で問題がないか調べさせられる。具体的には固定電話の大元のプラグから電話機のケーブルを抜いて、しばらくして入れる。モデムをフィルターから外して、直接モデルから出ているケーブルを電話プラグにつないでインターネットが通じるかのテストをするなどである。いろいろテストした後、こちら側での問題ではないと分かると、今度はオペレーターが担当部署と話す。その間じっと待つ。そして、今回オペレーターが言ったのは、技術者がラインを調べる必要があり、Due Dateはなんと1週間後になると。なんでそんなに時間がかかるのかと聞いたら、通常このくらいかかり、もっと早く直せる場合もあるが、最大で1週間かかると。調査は電話局の交換局からスタートして問題がなければ、家まで来るかも知れない、もし家の中で問題が見つかれば、それはこちらの責任なので有料になるということであった。そしてサポート電話直通のリンクをテキストで送るので、これからは、そのリンクを使って連絡すると電話局の方から電話をかけてくれると。また問い合わせ時に必要なケース番号ももらった。

それから2、3日我慢した。電話に関しては、全く通じないことはなくノイズはあるが通じることが多かった。それに携帯電話を持っているので、昔ほど不便を感じない。また故障期間中は携帯電話の料金が通常の電話料金と同じになる割引を適用してくれた。ただインターネットに関しては問題があった。携帯のインターネットはADSLのものと比べてスピードが遅い。さらにADSLでは月に500GBとか1TB使用可能なのに、携帯インターネットのリミットは月にわずか2、3GBしかない。これも超過分はチャージしないという約束を取ったが、携帯電話のホットスポット機能を使ってPCでインターネットを使用するにはあまりにもスピードが遅く全く仕事にならなかった。つまり昨今は固定電話が故障してもなんとかなるが、インターネットが故障すると大打撃を受ける。

この時点で私は少し不安になった。もしかするとモデムが壊れているのではないか?いろいろ調べてもらって電話局に文句を言って、最終的に自分のモデムが壊れていたのが原因だったら恥をかく。そこであくる日思い切ってモデムを買って交換した。が結果は同じであった。やはり原因は外にあるとその時点で確信が持てた。そこでテキストにあったリンクで問い合わせた。とすぐに電話がかかってきた。そしてオペレーターにモデムを新しいものに交換したが結果は同じだったことを伝えた。

オペレーターは少々お待ちくださいと言って、どこかの部署と話しているようだった。そしてしばらくして、この問題は私の家だけではなく、同じエリアにある多くの家で同じ問題が起こっており、問題はすでにレベル5という高いレベルの技術者が対応しているので、もう少し待ってほしいとのことであった。自分のせいではないということがはっきりわかって安心したが、それではなにが起こっているのかと聞いた。オペレーターは「わからない」という返事だった。「なにも情報がないのか?」という問いに「そうだ」と答えた。レベル5のテクニシャンと直接話せるかと聞いたところ、直接は話せないがもう一度原因を聞いてみるとのことで、これまたかなり待った。そしてやっとわかったのが、「誰かが電話のケーブルを切断してそれを修復中である」ということであった。そのことが分かるまでに4日間もかかったのかと聞いたが、それに対する明確な返事はなかった。結局モデムを無駄買いしてしまったことになる。

後編に続く

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