情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)専門家

オーストラリアにおける外国人投資家による住宅用不動産取得

概要
外国人投資家がオーストラリアで住宅用不動産を購入する場合、オーストラリア税務局(Australian Taxation Office:ATO)に承認を申請する必要があります(免除が適用される場合を除く)。外国人投資家は、拘束力のある契約を結んだり、購入したりする前に、承認されるのを待たなくてはなりません。

主な用語
・「residential application」:オーストラリアの住宅用不動産を購入するための承認申請
・「property」または「asset」:住宅用不動産、すなわち新築住宅、既存住宅、または空き地。
・「the Register」:The Register of Foreign Ownership of Australian Assets(オーストラリア資産の外国人所有権登録簿)のこと。外国人投資家向けオンライン・サービス(Online services for foreign investors)を利用して、資産を追加する。

物件を購入する前に
以下について、申請が必要です。
・特定の居住用財産を購入するための承認
・購入予定の特定の不動産がない場合など、免除証明書の申請
・既存の外国投資承認または免除証明書の条件の変更

住宅用不動産には以下が含まれます。
・新築または新築に近い住宅
・一時的な居住者が本宅として居住するための既存住宅
・再開発のための既存住宅
・建物が完成していない物件(図面草案を元にした物件購入)
・空き宅地
・外国企業がオーストラリアに拠点を置く従業員の住居として使用するための既存住宅

住宅用不動産の購入申請には手数料がかかります。

申請の前に考慮すべきこと
・外国人投資家が購入予定の特定の不動産を持たない場合、免除証明書の方がニーズに合っているかもしれません。免除証明書を使用すると、物件を1戸だけ購入する場合に限り、指定された州または準州内で複数の不動産に入札またはオファーを行うことができます。また、再開発用の既存住宅を除く、ほとんどの種類の物件で免除証明書を申請できます。

・外国人投資家が購入できる物件の種類は、ビザを保有しているかどうかによって異なります。ビザを保有している場合、より選択肢が増える可能性があります。適格となるビザには、一時居住ビザ、つなぎビザ(ブリッジング・ビザ ※永住ビザを申請済み)が含まれます。
※つなぎビザを保有していて、一時居住ビザを申請している場合、永住ビザの申請はできません。

永住ビザを保有している場合は、住宅用不動産の購入申請が免除される場合があります。

一般的に、外国人投資家は次のような購入申請を行うことができます。
・新築または新築に近い住宅、または免除証明書の申請
・空き地または免除証明書の申請
・2戸以上の新築住宅を含む再開発のための既存住宅(免除証明書を申請することはできない)

免除証明書(Exemption certificate)
免除証明書により、外国人投資家は以下のことが可能となります。
・1つの不動産を取得するため、複数回試行することができる。
・指定された州および準州内に限られる。
・関心がある物件について、個別に承認を求める必要がない。
・免除証明書を使って購入できる物件は1戸のみ。

※外国人投資家は、新築または新築に近い住宅、あるいは宅地開発用の1区画の空き地の購入に免除証明書を使用することができます。
※一時滞在者は、オーストラリア滞在中に居住するために、免除証明書を使って既存住宅を購入することができます。
※外国人投資家は、免除証明書が承認されれば、購入しようとする不動産ごとに個別に承認を求める必要がなくなります。また、入札が不成立となった後に変更申請や新たな申請を行う必要もなくなります。
※外国人投資家は、契約が条件付きであれば、すでに契約を締結していても免除証明書を申請することができます。

<有効期限>
・承認日から12カ月間有効

<指定事項>
・物件価格の上限
※いったん承認された後、免除証明書に記載されている不動産価格の上限を引き上げる必要がある場合、外国人投資家は新たに住宅申請書を提出する必要があります。
・購入可能な州または地域
・購入可能な物件の種類
※免除証明書は通常、以下のような特定の不動産タイプに関する標準的な承認条件に従って承認されます。
-既存住宅
-新築住宅
-空き宅地

承認条件
オーストラリア税務局(ATO)は、申請がオーストラリアの国益に適うかどうかを確認するため、住宅購入申請、免除証明書申請、変更申請についてケース・バイ・ケースで検討します。購入が国益に適うことを確認するため、承認に条件が課されることがあります。その条件は、外国人投資家が以下のどのタイプの物件の購入を申請しているかによって異なります。
・既存住宅
-本宅(主たる居住地)として
-再開発のため
-オーストラリアを拠点とする従業員の住居
・新築住宅
・新しい住宅の近く
・空き地

申請方法
外国人投資家向けオンライン・サービスにログインし、承認を申請または既存の承認を変更します。

ホームページから次のいずれかを選択します。
・「Lodgments」→「Residential application」、または「Lodge or pay residential application」のクイックリンクを選択します。
次に、「Add(追加)」、「Start(開始)」の順に選択し、該当する住宅申請のタイプ(Types of residential applications)を選択します。

※申請を完了するために、以下に注意してください。
・申請は1回で完了しなければならない。
・25分間操作がないと、サービスはタイムアウトする。
・進捗状況を保存して、後で完了することはできない。
・申請完了時に申請者の詳細が未記入と表示されている場合は、該当する詳細を更新する。

注意事項:
本稿は法的アドバイスを目的としたものではありません。必要に応じて専門家の意見をお求めください。
Liability limited by a scheme approved under Professional Standards Legislation

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