ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

わたしはITを職業としていることもあり、日常ITに関しての数々の質問を受けている。先日、オーストラリア在住の知人から質問があった。「アマゾンを使ってオーストラリア製のフェースクリームを日本に売る方法を教えてほしい」 正直わたしはアマゾンで物を購入したことはあるが、売ったことはなかった。断ってもよかったのだが、自分でも興味が沸いたので調べてみることにした。先に結論を言っておくが、今回は販売方法を書いた英文文書を見つけたというだけで、販売方法について深く理解して分かりやすい情報を書いている訳ではない。

わたしは若いころ(四十年前)日本の貿易会社にいて日本から海外に電化製品を輸出していた。どのような手続きがあったのか、一生懸命思い出してみた。まず海外から注文を受け、日本国内のメーカーに注文を出す。メーカーは貿易会社の倉庫もしくは直接船会社(もしくは航空会社)の指定場所に荷物を輸送する。そこから船会社が、船もしくは航空機で海外の港まで荷物を届ける。送り手側の手続きといえば、日本側で乙仲と呼ばれる輸出業者に頼んで輸出手続き、税関関係の手続きをしてもらう。保険会社に頼んで保険を掛ける。海外の顧客が荷物を受け取るために必要な税関手続き用の書類を作成して送付するなどなど。簡単に書こうと思ったが、次々と思い出してこれは簡単には書けないと思ってしまった。昔はお金のやり取りにLC(信用状)を使うことがあり、海外の銀行から日本の銀行に対してLCが依頼される。日本側も海外側も船会社、乙仲、保険会社、銀行、ロジスティクスなどいろんな業種の会社が関係しており、とても個人レベルでできる仕事ではなかった。

ところが、最近はアマゾン、楽天などを通して直接海外で販売ができる。昔の記憶に留まっている者からすると夢のような話だ。わたしは、今日アマゾンを通して個人でも海外販売ができるのは知っていたが、自分ではそういうことをする機会もなく、また興味も薄れ、分からないまま放っていた。今回やっと知人の言葉に刺激を受けて重い腰を上げた。調べてみると下のようなサイトを見つけた。リンクにある長い英文を読もうと思う方は、よほどアマゾンで販売を考えられている方であろう。軽いノリで読み始めたわたしとしては、次々と分からない用語が出て来て途中で何度も中断し、次第に元気がなくなってきた。おそらく読者のみなさんも同じことになると思う。またこれらの文章を日本語訳にしてみたところで素人にはすぐに理解できるとは思えない難しい内容だ。そういう訳で、今回は目次の日本語訳をしたので、取り敢えずご紹介する。その後に自分の感想やヒントになる事柄を書いてみた。

How to start selling on Amazon in Japan.
https://m.media-amazon.com/images/G/01/AmazonServices/Site/AssetLibrary/Japan-SellingGuide_Eng.pdf?ld=SDUSAGSDirect

日本のAmazonで販売を開始する方法:目次
販売準備
1.日本での成長機会と顧客のAmazon.co.jpでの買物状況について学ぶ
2.日本で販売できるさまざまな商品について学び、どのカテゴリーが制限されているか、または承認が必要かを理解する
3.販売を開始する際の税および規制の要件を理解する

登録して一覧表示
4.Amazon日本の出品用アカウントがどのように機能するかを理解し、登録時に提供する必要がある情報を学ぶ
5.アカウントの確認を完了し、合格に必要な書類を理解する
6.日本で利用可能なリスティング ツールを理解し、Build International Listings (BIL) がリスティングの管理にどのように役立つかを学ぶ

発送と物流
7.日本での物流オプションを理解し、商品のAmazonによる物流、または自身の物流を使うかを選択する
8.輸出入規制を含む国際的な物流管理要件を理解する
9.パッケージと関税の要件に準拠して、日本のAmazon物流センターに在庫を発送する (FBAありの場合)

ビジネス管理
10.現地の言語でカスタマー サポートを管理し、返品のための現地住所または国際配送の払い戻しを提供する(FBAが物流を管理し、質問を返す)
11.商品を宣伝して日本の顧客への売上を伸ばす

と、まあ海外で商品を売る手続きはアマゾンを使ってもそう簡単ではないことが分かった。例えばオーストラリア製のフェースクリームを日本で売るための法律はいろいろありそうだ。調べると、オーストラリアで売られているチューブ入りクリームを直接日本の消費者に販売する日本での許可はいらない場合があると書いてあった。だが、日本の販売店に送って彼らに売ってもらうには日本の許可がいる。クリームの中身だけを送って、日本で瓶詰め、チューブ詰めすればまた別の許可がいるなど。商品により、また送る形態、売る形態によって様々な法的規制がある。さらにメーカーとの販売ライセンス契約がどうなっているのか調べる必要がある。

輸出、税関手続き、保管、日本でのウェブ販売、お金のやり取り、返品の受付、カスタマーサポートなどなど。これら一切をアマゾンが一括肩代わりしてくれるシステム(FBA)があり、これはとても便利だ。個人で商売するとしたらこの方法しかないように思える。だが、実際にやっている人のコメントを読むと、これらの手数料の方が商品コストを上回る(場合によっては何倍も)場合が多いという。しかし、自分で手続きをやったらもっともっと手間とお金がかかるのでアマゾンに任せているらしい。兎に角今回調べて分かったことは、アマゾンを利用するにしても多くのことを調査する必要があり、一朝一夕にはいかないということだ。

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