鳥居泰宏/ Northbridge Medical Practice


コロナに感染したときに使われる抗ウィールス薬は数種類あります。入院を必要としない患者さんに処方できる経口薬は
オーストラリアでは現在2種類あります。重症化して入院治療が必要とする患者さんの場合は静脈注射の薬があります。
家庭で服用できる経口薬は一般開業医で処方できますが、一定の条件を満たしていないとオーストラリアの医薬品給付制度を活用して処方することができません。もし、条件が満たされていなくても薬を入手したい場合はプライベートの処方箋(医薬品給付制度の規約外)で処方できますが、薬は$1000以上する高価なものです。

コロナ感染症の症状
発熱 喉の痛み 咳 鼻水
頭痛 筋肉痛 吐き気 嘔吐
下痢 味覚障害 嗅覚障害

医薬品給付制度で処方できる条件
*PCRまたは抗原検査(RAT)で感染が証明されている
*発症後5日以内であること
*危険因子や無症状でも70歳以上であれば
*50歳以上で二つの危険因子がある場合
*アボリジニ、あるいはTorres Strait 島住民で、30歳以上、二つの危険因子を持つ人
*18歳以上で中~重程度の免疫無防備状態(Immunocompromised)な疾患

危険因子(Risk factor)のリストは…..
*老人介護施設入居者
*複数の疾患を持つ身体障害者、あるいは虚弱者
*神経疾患 ー 脳卒中、認知症、多発性硬化症(Multiple sclerosis)、ギランバレー症候群など
*慢性肺疾患 ー 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、中~重程度の喘息など
*糖尿病、肥満症
*心疾患 ー 心不全、虚血性心疾患、心筋症など
*腎不全
*肝硬変
*僻地居住者(高度医療施設へのアクセスが困難な人)

18歳以上で免疫無防備状態に当てはまる疾患のリストは…..
*血液癌、地中海貧血(Thallasaemia)、鎌状赤血球症(Sickle cell disease)
*臓器移植
*HIV
*過去3ヶ月間に化学療法、あるいは全身放射線治療を受けた人
*過去3ヶ月間に高容量のステロイド治療、あるいはパルスステロイド療法を受けた人
*過去3ヶ月間に免疫抑制療法を受けた人
*過去12ヶ月に Rituximab による治療を受けた人
*脳性麻痺、ダウンズ症
*先天性心疾患
*複数の疾患を持つ身体障害者、あるいは虚弱者

経口コロナ抗ウィールス薬の種類
オーストラリアで現在使用されている経口抗ウイールス薬は2種類あります。その重要ポイントは……..
*Lagevrio(Molnupiravir)
ー発症後5日以内に始める必要がある
ー入院治療が必要となるリスクを30%軽減する効果
ー生殖機能に関する影響はあきらかではないので妊娠可能年齢のカップルはこの薬を服用中、
並びに服用後3ヶ月は避妊手段が必要
ー妊娠中、授乳中の服用は避ける
ー副作用や薬物相互作用は少なめ

*Paxlovid (Nirmatrelvir/Ritonavir混合薬)
ー発症後5日以内に始める必要がある
ー入院治療が必要となるリスクを88%軽減する効果
ー薬物相互作用は多く、多数の薬品と反応し合うので要注意
ー腎機能が低下している人には投与量の調整が必要
ー生殖機能に関する影響はあきらかではないので妊娠可能年齢のカップルはこの薬を服用中、
並びに服用後7日間は避妊手段が必要
ー避妊薬の効果に影響する可能性もあるので、それ以外の避妊手段も必要
ー妊娠中、授乳中の服用は避ける

Lagevrioの副作用

副作用は軽度のもので、プラセボ(偽薬)とほとんどかわりまりません。
*下痢
*吐き気
*めまい

なお、高齢者や虚弱体質の人の場合、脱水症状になったり、めまいによる転倒がおこったりする危険も
あるので注意してモニターする必要があります。

Paxlovidの副作用

比較的よくおこる副作用は:
*味覚障害
*下痢
*嘔吐
*頭痛

その他の副作用は:
*高血圧
*筋肉痛

もしアレルギー反応がおこった場合は

*呼吸困難
*顔、唇、舌の腫れ
*蕁麻疹、ひどい痒みや発疹

すぐに000に連絡するか、最寄りの緊急病棟に行ってください。

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