情報提供：アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一（国際商業会議所本部仲裁・調停委員）
気候変動に関する政府間パネル（IPCC）専門家
豪州法考察4
植民地記念日
1月26日は豪州の植民地記念日ですが、これを祝うと言うのは先住民に対して失礼ではないでしょうか？
１７７６年に米国が英国から独立した為、英国は当時囚人の流刑先を探しておりました。インドネシアの南に位置した豪州の国土は当時ニュー・オランダとして認知はされておりましたが、植民地化が未だされておりませんでした。
1770年4月29日、英国の帆船エンデバー号がシドニー国際空港の南に位置するボタニー湾に上陸しました。船長は上陸後、その地をニューサウスウェールズと名付け、「豪州は英国の領土に今日からなった」と宣言しました。勝手に人の島に上陸して、今日からこの島は英国の所有になったと言える権限がどこにあるのでしょうか？ そして、米国の独立から12年目の1788年1月26日、英国海軍率いる最初の植民船団がシドニー湾に上陸し、英国の植民地として開拓を始めたとされています。
１８世紀の英国では植民地化を合法化する為の法律の中に、テラ・ニラスと云う考え方が有りました。つまり、人が住んでいない土地は上陸と共にで英国の植民地になると言う考え方です。しかし、エンデバー号の船長であるクック氏は先住民に接遇しております。テラ・ニラスは成り立たないのではないでしょうか？
クック船長以下は、豪州の先住民であるアボロジニを先住民とは看做しませんでした。その理由としては、アボロジニは定まった住居を持たなく、柵等の仕切りない為土地の所有意識が無い。狩猟民のアボロジニは土地の農業化をしていない為、土地が全ったく活用されていないと看做されました。拠って豪州には先住民はいないと判断されました。つまり、アボロジニを旅行者位にしか認識しかった事になります。
１７８６年以降略２００年程アボロジニの存在を英国ならびに豪州は認めませんでした。当時は犯人が見つからないと、警察や検事はアボロジニを犯人に仕立て上げる一件落着の風潮でした。当時アボロジニには人権が無い為、彼らは法律で守られておりませんでした。１９６０年代に初めて彼らに人権が認められました。それは、若きしメデア王のルーピット・マドイックが正義心に燃え、自分の新聞会社を使い社会に挑戦したお陰です。
１９９２年に初めてアボロジニを先住民として認めるマボ判決が有りました。英国の植民地化が違法であった事は認めましたが、２００年を経過している為、一部の土地の返還や経済的分配で終わりました。犯罪を起こした日を祝うのでは無く黙祷等をする国民反省の日に変えるべきではないでしょうか？
オンブズマン制度
携帯電話やモデムの使用で追加料金を請求された事は有りますでしょうか？
急に基本料金の十倍以上の請求書が届いた事が有るでしょうか？
色々なプランが有り、契約した容量を超えると追加料金を請求されますが、豪州には通信法（連邦法）が有り連邦政府が利用者を保護しております。通信法に基づき販売店は基本料金を超える際に利用者に対して連絡する事が義務づけられております。
豪州電気通信法では携帯電話やモデムの販売店は事業を始める前に政府機関に登録を義務づけられておりますが、潜りで事業をしている販売店も有ります。しかしながら、契約を結ぶ前に正規の販売店か否かを確認するのは難しいです。
何の連絡も無く急に多額の請求があった場合は、販売店にその旨連絡し、追加料金の取り消しを求めて下さい。取り消しを認めない場合は、どうしたら宜しいのでしょうか？
近年日本でもオンブズマン（Ombudsman）制度が導入されました。聞き慣れない方が多いかも知れませんが、オンブズマン制度が最初に生まれたのは福祉国家で有名なスエーデンです。この制度は、基本的に公務員の不良行為に対して国民を救済する所から生まれました。例えば、豪州で警察官から不当に暴行を受けた場合は警察オンブッマンに連絡して下さい。
被害届け受理後は、調査に値するとオンブッマンが判断した場合は、無料で取り調べをして頂けます。その後被害者に報告書をお送り致します。必要に応じてオンブズマンは担当政府機関に勧告を致します。豪州には各政府機関にオンブズマン制度が有ります。
携帯電話やモデムの場合は通信オンブズマンになります。但し、無登録の潜りの販売店はこの限りでは有りません。この場合は、通信法違反の販売店を告訴する必要が有りますので専門家のアドバイスを求めて下さい。
注意事項：
本稿は法的アドバイスを目的としたものではありません。必要に応じて専門家の意見をお求めください。
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