ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

マイクロソフトが作成したソフト、フライト・シミュレーター(以降MS-FS)が昨年メジャーアップグレードして新しくなった。高解像度対応になり、4Kの超高解像度でシドニーの上空を滑空することができる。本物と変らないビル群、オペラハウス、ハーバーブリッジ、シドニータワーが本物そっくりに立体で見える。今まで見たことのない方は、その完成度の高さと建物や道路などのディーテイルの素晴らしさにビックリするに違いない。道路には車も走っている。

世界中の多くの都市の地図は、グーグルマップで観られるように本当の建物の配置がされており、グーグルマップでは分からないビルの高さまで忠実に再現されている本格的3Dなのだ。皆さんのお家も上空から探せるかも知れない。羽田空港からセスナで飛び立って、東京見物をし、スカイタワーやディズニーランド上空を滑空することもできる。

さらに時間指定、空模様の指定ができる。シドニー空港発と指定すると、デフォルトで本日同時間のリアルタイムの天候(晴れ、曇り、雨)が現れる。雲の形まで似ていると思うのは私だけだろうか? 風速の情報もあるようで、悪天候の条件下での離着陸訓練もできる。また夜間飛行の訓練もでき、シドニー上空を夜間飛行するとオペラハウスの点灯、ハーバーブリッジの一つ一つの灯り(ハーバーブリッジの橋梁やシドニータワーの3Dモデルはオプションで買う必要がある)、市内の何百、何千のビルの窓から漏れる赤青黄色の細かい灯りが本当の飛行機の窓から観ているようで圧巻である。

このMS-FSの凄いところは、ただのゲームではないところだ。実際のパイロットの訓練に使用されている本格的シミュレーターなのだ。冗談ではなく、パイロットを目指す人たちがまずこのMS-FSで訓練している。噂では9.11事件を起こしたテロリスト達もこのソフトで訓練したらしい。将来パイロットを目指す方にお薦めである。(テロリストにはお薦めしないが)

機体もセスナのような小さい機種から、エアバス320、ボーイング747ジャンボジェットまで多くの種類が揃っている。今のところ最新式の戦闘機はないようであるが、理論的には戦闘機の操縦もでき、最近話題の、戦闘用ドローンの訓練も理論的にはできる。空中戦も夢ではない。このMS-FSを使用してゲーム感覚で訓練することで、エアフォース(航空隊)への就職に繋がる可能性も大いにある。(悪用しないように!)

Windows10版とXBOX版の2種類あり、高解像度で本格的に楽しみたいと思ったらWindows10版をお薦めする。ソフトの値段は$100-$140、それに加えて都市のさらなる3Dディーテイルが楽しめるオプションが販売されている。それでも$200-$300も払えばソフト的には十分な装備ができる。しかし、問題はこのソフトが使用できるハードウェアの仕様条件がおそろしく高いことにある。失礼だが今使用されているPCはまず使えないと思った方がよい。新たに高性能PCをこのソフト専用に購入する必要がある。ちなみに、MS-FS用に私が購入したPCのハードウェア仕様は以下のようなものである

・大型タワー型ボックス、冷却ファン3つ付き (小さなボックスやラップトップ機では、CPUやグラフィックカードの熱処理ができない)
・電源:850W (通常のデスクトップPCの3、4倍のパワーが必要)
・マザーボード: Gigabyte Z490
・CPU: Intel i7 10700F (高速CPU)
・RAM: 32 GB (大容量RAM)
・Graphic Card: Gigabyte Aorus RTX3080 (これが一番高価。約$3,000する)
・CPUを冷やすためのファン(別買い)
・SSD 2TB
・Windows 10 Home
・4K カーブモニター ハイレスポンス
・THRUST MASTER AIRBUS ジョイスティック・コントローラ
・THRUST MASTER AIRBUS エンジン・コントローラ

コンピュータにある程度詳しい方なら、どれだけのハイスペックが必要かお分かりになるだろう。この中で一番高価なのが、グラフィックスカードだ。これだけで$3,000近くする。合計は$5,000を超える。高価なおもちゃであるが、好きな人にとってはたまらなくほしいものであろう。YouTubeを観ると部屋を改造しコックピットを作った人もいる。また、ヒトが入れる大きな透明なボールをサードパーティーが売っている。その中にコックピットを造って操縦すると、上昇、下降、左右旋回で機体が本物そっくりの傾きになるようだ。

会社を定年退職した人たちが、子供の頃叶えることができなかった夢を叶えるために鉄道模型でジオラマを造ったり、ピアノを習ったり、ゴルフ、テニスを始めたりしている。子供のころパイロットになりたかった方、CAに憧れた方、世界中を飛び回りたかった方に少し贅沢ではあるがお薦めである。シドニー上空やみなさんの故郷の上空をセスナ機で飛んで見てくだい。涙が流れるかも知れません。

以下の写真は、MS-FSでシドニー上空を滑空したときの実際の画面コピー。昼と夜

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