ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

■ 今のうちに知っておきたいリスクと対策
2025年10月14日——この日をもって、MicrosoftによるWindows 10の延長サポートが正式に終了します。2025年6月現在、Windows 10を使用しているユーザーは、全世界のWindowsユーザーの50%以上に相当します。PCの台数にすると8億台以上になります。このように、今でも多くのパソコンで使用されているWindows 10ですが、サポート終了はすぐそこまで迫っています。

■ サポート終了日はいつ?
Windows 10は、2015年にリリースされて以来、10年間のサポート期間が設けられてきました。
その最終サポート日が2025年10月14日です。この日以降、Microsoftはセキュリティ更新プログラムの提供を打ち切ります。

■ サポートが切れると、どんな問題が?
サポート終了後もWindows 10は使い続けることは可能ですが、以下のような重大なリスクが生じます:
●セキュリティ更新が行われなくなる
ウイルスやランサムウェアなどの新たな脅威に対して無防備になります。
●ソフトウェアやハードウェアの非対応
新しいソフトや周辺機器がWindows 10に対応しなくなる可能性があります。
●トラブル時のサポートが受けられない
問題が発生しても、Microsoftからの修正やサポートは一切受けられません。

■ 対策としてできることは?
① Windows 11へのアップグレード
現在使用しているパソコンがWindows 11のシステム要件を満たしていれば、無償でアップグレードが可能です。
要件を満たすかは、Microsoft公式の「PC 正常性チェックツール」で確認できます。以前チェックしてアップグレードが不可だった場合でも、今試すと可能な場合がありますので、試してください。

②新しいPCへの買い替え
Windows 11非対応の古い機種をお使いの場合は、買い替えを検討するのが現実的な選択肢です。
近年のPCは省電力で性能も向上しており、長期的に見れば安全かつ快適に使用できます。

③Windows 10 拡張セキュリティー Updates(ESU)を購入する
ESUは、Windows 10のサポート終了後も、有償でセキュリティー更新プログラムを受け取れるプログラムです。これにより、サポート終了後Windows 11への移行にすぐに踏み切れないユーザーや、Windows 10でしか動かないアプリケーションを使用しているユーザーに対して、セキュリティーリスクを軽減しながら、使用を続けることができます。但し、どこかの時点でWindows 11に変更する必要があり、恒久的な解決策ではありません。
提供されるのは「Critical(重要)」および「Important(重大)」と評価されたセキュリティ更新のみ。機能追加やバグ修正、技術サポートは対象外です。
価格、期間、対象バージョンなどの条件は、今後も変更される可能性があるので、マイクロソフトのウェブページをご覧ください。

④市販セキュリティソフト導入
Norton、マカフィー、カスペルスキーなどの大手製品は、リアルタイム保護・ファイアウォール・脅威検出など、Windows Defenderよりも高度な保護を提供する場合があります。しかし、これらのセキュリティーソフトは、アプリケーション層で動作するため、OS(Windows)自体に新たな脆弱性が発見された場合の修正ができません。つまり、部分的な保護として役に立ちますが、根本的な安全性は確保されません。

■ まとめ
以上の対策をまとめて表にすると以下のようになります。

対策 おすすめ度 理由
Windows 11へアップグレード ★★★★★ 最も安全かつ長期的
Windows 11 PCへの買い替え ★★★★☆ ややコストありだが安心
ESU(有料延命)導入 ★★★☆☆ 一時的に安全を確保可
市販セキュリティ導入のみ ★★☆☆☆ 最低限の保護にはなるが不完全
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