エーオン・リスクサービス 斉藤 大


現在の新型コロナウィルス禍における厳しい事業活動状況下に鑑みて、コストの削減を見込んでの一部保険解約も全体的な経営判断の上で検討に上るような事があるかもしれません。

そのような際に、当該保険契約がどのような条件で手配されているのかを確認する事は非常に大切となり、その影響についても踏まえて判断をするのが重要です。

一般的に、オーストラリアでの役員賠償責任保険(Directors’ and Officers’ LiabilityもしくはManagement Liability)や専門職賠償責任保険(Professional Indemnity)は、Claim Made policyと言われ、保険事故の原因となる事案や行為が過去の物であっても、それが表面化した際に有効な保険で対応するようになっています。

つまり、専門職賠償責任保険であれば、その保険の対象となる専門サービス、アドバイス、デザインなどがいつ提供されたかよりは、それらを理由にいつ訴えを受けたのかが重要となり、訴えを受けて保険会社にその通知をした時点で有効な保険契約が対応することになります。

よって、例えそういった過去の行為が行われた時には有効な保険を持っていたとしても、訴えを受けた際に継続していない場合には、保険対応が出来ない事になります。

上記のような場合を避ける為にも、契約の停止や解約においては、十分に既存の保険契約の条件を確認するのが重要となります。

一方、事業の撤退等を理由に保険の解約をする、または更新をしないような場合には、Run Offと呼ばれる保険アレンジを行い、撤退後に万が一にも発生する訴訟事案に備える事が可能です。Run Off保険は状況によっては複数年分(一般的には最長で7年)を一括で手配できる場合もあります。

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