情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)


国際商事仲裁解説 Q&A形式

5話

裁定2
Q 裁定に不満の有る場合は仲裁地裁判所に異議申し立てをすれば宜しいのでしょうか?
A 仲裁地法を確認する必要が有りますが、Model Lawでは一定期間以内に仲裁地裁判所に上告する必要があります。
Q 仲裁地裁判所が最終結審をするのでしょうか?
A その通りです。上告は出来ません。
Q シドニー仲裁地で出た仲裁裁定をヨーロッパで執行する場合、その国の仲裁地裁判所に持って行けば良いのでしょうか?
A その通りですが、その国がニューヨーク条約に加盟している必要があります。
Q ニューヨーク条約に加盟していれば必ず裁定は、その国の裁判所の判決と同等に取り扱われるのでしょうか?
A 基本的にはその通りですが、例外もあります。自国の裁判所の判決と同等に仲裁裁定は取り扱われる必要があると言う点が重要です。従い、仲裁裁定がその国の法律と相反していたら如何でしょうか? つまり、国策や公序良俗に違反している場合は、仲裁裁定は認知されません。

言語
Q 仲裁は必ず英語でしょうか?
A 仲裁言語は当事者が選ぶ事が出来ます。
Q 日本語でも可能でしょうか?
A 当事者が合意すれば可能ですが、仲裁が開始されれば全ての書類を和訳する必要があります。又日本語堪能な仲裁人を探し出す必要があります。

紛争後の仲裁合意書
Q 事前に仲裁合意書が無くても裁判を避けて、仲裁に持ち込む事は出来るのでしょうか?
A 国際紛争の解決手段を、当事者が国際商事仲裁に望むのであれば可能です。しかし、現実には紛争が発生してから合意を結ぶのは難しいです。

鑑定人
Q 鑑定人はどの様に選択出来るのでしょうか?
A 申立人、被申立人、仲裁廷が其々各自の鑑定人を選出する事が出来ます。
Q 鑑定人の意見が異なった場合はどうするのでしょうか?
A 最終的には仲裁廷が決定しますが、口頭審理が開催される前に鑑定人のみを集めて内密で意見交換をさせる事があります。此れに依り、鑑定人の意見が統合されます。

口頭審理2
Q 裁判(口頭審理)は必ず有るのでしょうか?
A 口頭審理をしなければ時間と費用が削減出来ます。仲裁地法を確認する必要が有りますが、Model Lawでは口頭審理を開催するか否かは当事者の合意によります。但し、申立人又は被申立人の何方かが要望すれば必ず口頭審理は開催されます。

開示
Q 証拠書類等の開示は必ず求められるのでしょうか?
A 日本及びその他の大陸法の国では当事者の弁護団は、顧客に不利になる場合開示する事が禁じられております。国際商事仲裁では仲裁人は証拠の取り扱いに関して、International Bar Association(IBA:国際弁護士会)の規則を活用致します。
Q その規則ではどうなるのでしょうか?
A IBAの規則では当事者に書類を開示する事を求めております。申立人及び被申立人が相互に相手側に対して書類提出を求める事が出来ます。

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