情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ外国法事務弁護士事務所
国際仲裁弁護人・国際調停人 堀江純一(国際商業会議所本部仲裁・調停委員)


国際商事仲裁解説 Q&A形式

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仲裁地裁判所 2
Q 仲裁地裁判所とは何々でしょうか?特別な裁判所でしょうか?
A ニューヨーク条約加盟国は条約を批准する為に、各国は其々国内法として仲裁地法を新たに法令化致しました。その国内法で通常上級裁判所を仲裁地裁判所に指定しております。
Q 仲裁地裁判所は何をするのでしょうか?
A ニューヨーク条約に基づき海外の裁定を国内の判決として認定致します。但し、裁定が国内法に反する場合や公序良俗違反する場合はこの限りではありません。

仲裁地
Q 仲裁地はどの様に決めるのでしょうか?
A 当事者の合意に基づきます。合意できない場合は仲裁人が決めます。
Q 当事者が仲裁地を簡単に合意しない理由をお教え願います。
A 仲裁地は仲裁裁判の場所では有りません。仲裁地が決めれば自動的にその仲裁地法が仲裁裁判に適応されます。例えば、証拠の取り扱いや証人喚問はCivil Law(大陸法)とCommon Law(英米法)では異なります。此れを決めるのが仲裁地法です。

準拠法
Q 準拠法との違いをお教え願います。
A 準拠法はGoverning Law又はSubstantive Lawと英訳されます。例えば、損害賠償の根拠等が含まれます。
Q 準拠法も当事者の合意が無ければ、仲裁人が決めるのでしょうか?
A その通りです。

仲裁人 2
Q 仲裁人は重要ですね?どの様な人を選ぶべきでしょうか?
A 仲裁人は公正且中立的な人間で無ければなりません。つまり、関係の者を選択する事は出来ません。
Q 仲裁人は複数なのでしょうか?
A 当事者の合意により1人以上で仲裁廷を形成出来ますが、通常1人又は3人になります。

仲裁廷
Q 仲裁廷は何処にあるのでしょうか?
A 仲裁廷は物理的には存在しません。仲裁人が選任された段階で仲裁廷が確立されます。
Q 裁判は何処で開かれるのでしょうか?
A 尋問や証言は通常ホテルの会議室やADRセンターで実施される事が多いです。

ADRセンター
Q ADRセンターとは何でしょうか?
A ADRとはAlternative Dispute Resolution(裁判外紛争解決)の略です。最近各国共に国際仲裁及び調停センターを設ける様になりました。
Q 東京にも有るのでしょうか?
A 国際仲裁センターは最近東京と大阪に設けられる様になりました。国際調停センターは京都になります。

国際調停
Q 国際調停とは何でしょうか?
A 2019年に国連の元でシンガポール条約が調印されました。署名国は海外の国際商事調停合意書を国内の調停と同様に取り扱う義務があります。

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