前回は、テレワークにおけるリモート接続に関して説明した。リモート接続で会社のPCやサーバーに入って仕事をするのは、普段会社でする書類作成業務に取って代わるものである。しかし、これだけでは十分ではない。家から会議や打ち合わせができるテレカンファレンス(以降、テレカン)が必要だ。
新型コロナウィルス問題(以降、コロナ問題)で、在宅勤務が噂され始めたころから、やたらとテレカンのソフト広告が私のメールに入ってくるようになった。「Zoom」、「Webex」、「Teams」、「Skype」といった従来あるソフトに加えて、HP、DELLなど大手PCメーカーやインターネット・プロバイダーが独自のテレカン用のソフトを販売している。
有料のもの、無料のものがある。例えばZoomは有料と無料の両方があり、無料のものは会議時間などに制限がある。「Google Meeting」(以前「Hangouts Meet」と呼ばれていた)は、G SuiteエディションとG Suite for Educationのユーザーが対象であった。だが、コロナ問題が起こってから、一般のユーザーに対しても期限付きで無料開放している。このように従来は有料であったソフトを、コロナ対策への支援を謳って無料にしているメーカーも出てきている。詳しくはそれぞれのソフトのウェブページをご参照あれ。
「テレカンは、どのソフトがいいですか?」とよく質問されるが、以下のような条件を鑑みて判断する必要がある。
- 会議の最大人数(5人くらいから、千人まで扱えるソフトがある)
- 会議時間(無料ソフトによっては、会議時間に「1時間まで」というような時間制限がある)
- 全ての端末にカメラやマイクロフォンの設備が必要かどうか(デスクトップPCではカメラとマイクが標準設備されていない ので、音声、動画の受信はできるが、送信ができない)
- 音声のみでよいか、動画が必要か(動画が重くて使い物にならないということがよくあり、有料の場合は購入前にテストしておくことをお薦め)
- テキストで全員とチャットが可能かどうか(特にマイクがない端末用に)
- ワード、エクセル、パワーポイントなどのファイル共有が会議で扱えるかどうか
- アカウントは、アドミンだけ必要か、それとも全員アカウントを取る必要があるか
- プランが予算に合うかどうか
- セキュリティーは万全か(一部のソフトで、セキュリティーの脆弱性が指摘されており、どのような問題が過去にあったか調べる必要あり)
- クラウドの仕組みを知る(共有ファイルなどを本人が知らない間にクラウド・サーバーにコピーするソフトがあり、大事なデーターの置き忘れ、未削除が起こる場合がある)
- 回線のスピード、品質をチェックする(回線の品質は、非常に重要。時間帯や参加人数によって不安定で、途中で途切れたりしないか。できれば事前にテストしたほうがよい。)
- ソフトのサポート体制は? (無料のソフトはサポートがないものが多いが、有料のものでも、いざという時にサポートチームと連絡が繋がらなかったり、長時間待たされたりするものが多い)
以上のように、チェックする項目が多すぎて、導入前にこれらすべてをテストしてソフトを選ぶというのは、実際無理なことかも知れない。私のお薦めは、まず最大会議人数と動画やファイル共有が必要かどうかを考えて、2、3のソフトを人気ソフトのなかから選んでみてはどうか。そして、優先順位の高い順番でテストをしてみたらどうであろう。テストが簡単にできないのであれば、参加者全員にその旨、断りを入れて、ぶっつけ本番で試してみるというのが、現実的かも知れない。