ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

急速に拡大したコロナヴァイルスにより、日本では主要都市に対し緊急事態宣言がなされ、オーストラリアでも同様の状況になっている。先月は、まだ自宅待機になっていない企業が多かった。だが、今はほとんどの企業で、テレワークで仕事をしている。
急速過ぎて、日本もオーストラリアもテレワークの準備ができていないのが現状だ。街の電器店の棚からはほとんどのノート型パソコンが消え、売れ残りの高価なものがポツポツある程度だ。

テレワークは、通常会社で行っていた仕事を主に家庭で行うことであるが、今回は家庭のPCから会社のPCを操作する「リモート接続」に関して説明しよう。有料、無料のアプリケーション(以下、アプリ)が数多く出ているが、よく使われている三本の無料アプリをご紹介する。

Windows、Remote Desktop Connection
Windowsに標準で搭載されているアプリである。無料で使用できる。Windows を使用しているPCやサーバーであればリモート接続することができる。このアプリは主に会社内の端末からLANで結ばれているサーバーに接続するために使用されている。家庭から会社のPCやサーバーに接続することも理論的には可能であるが、一つ問題がある。インターネットのTCP/IPポート3389をオープンしないと接続できないことだ。社内だと、このポートはオープンする必要はないが、社外からの接続だと、ルーターを操作してこのポートをオープンする必要がある。オープンするとどうして問題なのかと言えば、脆弱性を狙われ、ハッキングされる危険性が増すという理由である。そのことから、現在ではRemote Desktop Connectionは家庭との接続には用いられず、以下にご紹介するソフトが多く用いられている。

TeamViewer
無料と有料のものがある。無料のものは、個人使用に限られ、いくつか機能の制限がある。Windows、Mac、Androidなどほとんどのパソコンで使用できる。このソフトは特別なTCP/IPポートをオープンしないでリモート接続を実現しているという意味で、比較的安全である。使用方法としては、接続先のPCやサーバーからIDとパスワードをもらって、それを接続元のPCに入れる。

無料版では、シャットダウン、再起動、ログアウトをしたりすると接続が切れてしまい、先に入れたパスワードも無効になる。接続が切れたら、接続先にいる誰かに、もう一度新しいパスワードを送ってもらう必要がある。
つまり、接続先に誰かにいてもらわないと対応できない。ロックアウトで会社に戻れない場合は再接続できないということになる。
接続は基本的に一対一デバイスで、複数のPCやサーバーと同時に接続できない。
ただし、以上は無料のアプリに関しての情報で、有料のものに関しては調査をしていないので不明。

Chrome Remote Desktop
Google社から出ている無料アプリである。Google Chromeが使用できる環境であれば、Windows、Mac、AndroidなどOSを問わない。Google ChromeからWebモードでも使用できるし、別にアプリをインストールして使用することもできる。
このソフトも特別なTCP/IPポートをオープンする必要がないので、比較的安全と言える。
使用するためには、Google Accountが必要で、同じアカウントを複数のPCに入れることによって、接続が可能になる。例えば、5台のPCに ******@gmail.comというアカウントで、アプリをインストールしておけば、PCのスイッチが入っている限り、リモート接続がお互いにできる。ただし、一度に一台だけで、同時に複数の接続はできない。
このアプリのメリットは、ログアウトしても再起動しても接続が遮断されないところで、スイッチを切らない限り使用し続けることができる。パスワードも入れなおす必要がない。
サーバーに直接アプリをインストールするのは試していないが、通常はPC側にアプリをインストールして、PCとサーバー間はWindows Remote Desktop Connectionを使うということがよく行われている。

Google Remote Desktopは簡単に設定でき、ログインも簡単で、非常に便利である。だが、便利とリスクは背中合わせと前々から述べているように、ユーザーネームとパスワードさえわかれば誰でも入れてしまうという利点と欠点がある。どのPCに設定したか忘れてしまうこともあり、第三者が自分のPCに勝手に入っているのがわからないことがある。VPN接続と比べると安全性は低くなるが、VPNは遅いとか、手続きが多いなどの問題をはらんでいて痛し痒しである。

ご注意
企業の場合、使用できるソフト規定があると思うので、使用許可が出ているかどうかを先に確認してから使用していただきたい。

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