情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ法律事務所-公証役場
主席弁護士・公証人 堀江純一(茨城県弁護士会所属外国法事務弁護士)


 

連邦政府及び各州の自治権

Australia National University (ANU) を日本語に訳しますとオーストラリア国立大学になると思われますが、ANUは本当に国立大学なのでしょうか? 豪州の場合幾つかの州及び準州が集まって連邦政府を形成しております。 110年前までには連邦政府は存在せずに各州が其々一つ独立した植民地として国家と同じ機能を所持しておりました。

しかし、日本が軍事国家主義に走り出した頃、豪州の各植民地は北の脅威を感じ始め、連邦化の話が始まりました。 各植民地とも其々が独立した自治権を持っていた為に、連邦政府を作る際に各植民地の自治権を100%委ねる事はなく、連邦政府が一つの国として立法権を持てる分野が非常に限られました。 例えば、警察権はそのまま植民地に存続し、連邦政府には与えられませんでした。 また、教育に関する立法権も無い為に、オーストラリアでは連邦政府に学校教育を委ねることはなく、ANUに関しても名前だけが国立であり、経営母体はあくまでもキャンベラにあります、オーストラリア・キャピタル・テリトリー(準州府)になります。 連邦政府だけが持つ立法権としては税法になります。 よって、各州には税務に関する立法権は全くありません。 例えば、各州のペイロールタックスは、名前はペイロールタックス(税)でも、憲法上の税務ではなく各州が企業から徴収するサービス税であります。

今から、25年くらい前までには、各州によってタバコの値段が異なっておりました。 これは、州によってはタバコの販売に対して税金を課している州と、課していない州があったからであります。 しかしその後、最高裁が州がタバコの販売課税する事が憲法違反と判断し、タバコの販売で税金を徴収する事が憲法違反となり、州政府は徴収ができなくなりました。

それでは、税収のない各州がどのようにして行政を行っているのでしょうか。 税金という形で徴収することができるのは連邦政府だけであります。 連邦政府が徴収した税金を各州や準州に人口を考慮して各州や準州に徴収した税金を分け与えております。 これを各州、準州が収入としております。 また、各州、準州ではCouncil つまり、市町村等に連邦政府が頂いた税金を更に細分し贈与しております。

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