ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

日本は地震、津波、台風と災害の多い国で、それに比べればオーストラリアは地震がなく、津波がなく、台風がないいい国だと思っていた。ところが、最近ブッシュ・ファイアーがシドニーにまで迫ったり、干害、水不足が深刻になったり、サイクロンのような嵐が吹いて木が倒れて何日も停電したりという問題が起こっている。何を隠そう私の家の辺りも昨年末の嵐のために木が倒れ、その木が電線を巻き込んで停電するという事故が起きた。そして停電は前代未聞の5日間続いた。今回はITの話題から少々拡大して、私が実際に経験した災害とその対応に関して書こうと思う。

停電した最初の日は、電柱が倒れ、電線が道路に落ちていて危険とのことで家の前の道路は封鎖された。そのため車は家から離れた道路に泊め、自宅には隣の家の塀を乗り越えて入った。夜になると家の中は真っ暗。懐中電灯を持って歩いたが、家の中を照らすには光量不足で、電池がどのくらい長持ちするか不安だった。スマートフォンを電灯代わりに使うというのもバッテリーを消耗して肝心の通信手段がなくなったらもっと問題になるため断念。結局昔ながらのろうそくを食卓や机の上に置いた。台所のガスは使えたのだが、電気がないと点火することができない。普段マッチを使っていないので「マッチ、マッチ」と暗闇の中を探しまわった。

道路の電線はその夜に片付けられ、道路の封鎖は翌日解かれた。しかし、それからしばらくしても一向に停電が復旧しない。電気会社であるAusgrid、さらには地元のカウンセルに電話した。電話がなかなか繋がらず、結局ツイッターなどで確認すると、停電はかなり広い地域で起こっていて復旧のスケジュールはわからないが、早ければ明日復旧するだろうというなんとも不確かな情報。

家では太陽光発電を使っていたので、昼間太陽があるときは電気が供給されると思っていたが大間違いであった。ほとんどのソーラー・システムは停電時にはソーラー・パネルから電気が供給されないらしい。唯一ハイブリッド・インバーターシステムがある太陽光発電システムは停電時でも電気の供給ができるらしいが、非常に高価なためほとんどの家庭では安い方を選んでいるとのこと。

ガス給湯システムも発火に電気を使うので、停電時はお湯がでないということがわかった。久しぶりに水シャワー、行水を経験した。丁度夏だったのでよかったが、これが冬に起こっていたらパニックになっていたと思う。

淡い期待も裏切られ、その翌日も次の日も停電。この時点で冷蔵庫のものはすべてアウト。冷凍さんまを3日間連続で食べ、ミルクを普段の倍飲んで気分が悪くなった。こんなに停電が続くのが先にわかっておれば、早めに冷蔵庫のものを誰かにあげるとか処分できたのにという後悔。それにも増して、Ausgridやカウンセルはなにをしているのかという怒り。日本だったら数時間の停電でも大変な騒ぎになっているはずなのに、オーストラリアという国はなんと我慢強い人の多いことか。

5日間の停電を通して唯一使用できた電器製品がスマートフォン。充電は、市販のポータブル充電機やラップトップPCのUSB端子を使って充電。その充電機やラップトップはどのように充電したかというと、仕事先などで充電させてもらった。ろうそくの灯る食事のテーブルはナイトクラブ状態。陽のあるうちに食べないと暗くて何が何かわからない。オーブンなど台所の電化製品についている時計も狂ってしまって、復旧後時間を合わせなおす必要あり。一つだけいいことがあった。陽が落ちたらすることがないので早く寝て、早く起きることができた。朝明るくなっているのがとても幸せに思えた。

Share This