ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

都市にあるオフィス、住宅、工場、病院などの施設、建物。電車、車などの交通。電力、ガス、水道などのインフラ。銀行、証券会社などの金融機関。これらのものは、現在のところそれぞれがバラバラに活動しており、お互いのコミュニケーションがほとんどない。これらのものすべてを5Gや高速インターネットで繋いで効率化を図ろうというのが、スマートシティ構想である。

スマートフォンの歴史を考えてみればスマートシティがどのようなものかある程度想像がつく。スマートフォンができる前は、携帯電話、時計、計算機、テレビ、カメラ、ウェブブラウザ、メール、ゲーム、ホームセキュリティー、買い物などそれぞれのデバイスは別々にあって、すべてを持ち運ぶことは困難で、さらにデバイスによっては持ち運べないものもあった。スマートフォンは、これら全てのアプリケーションをポケットに入れられるサイズに凝縮しただけでなく、アプリ間のコミュニケーションを取り効率化を図った。

例えば、住所や電話番号を連絡先に登録しておくと、一々ダイアルしなくともその連絡先の電話番号に触れるだけで電話ができるようになった。ウェブで探したホテルに予約するときも同じように、ワンタッチで予約ができる。ペンでメモを取る必要はない。航空券も同じく予約でき、Eチケットが送られてきて、最近はそれを印刷する必要もなくなり、QRコードの画面を機械に翳すだけでチケットが発行される。つまりスマートフォンでは、単にアプリを集めただけではなく、それぞれの関係性を精査し、最小の手間で、最大の効果が得られるようなコミュニケーションが考えられてきた結果と言える。

スマートフォンはその所有者である個人を中心に放射線状に周りのもの、人、情報とコミュニケーションを持ち範囲を広げることができる。ところが、もの同士のコミュニケーションに関してはまだほとんど手付かずの状態だ。理由として高速、大容量、多接続、低遅延のネットワークが今までなかったことが大きな要因と言える。その点で5Gネットワークにより、ものとものを結び付け、都市全体のコミュニケーションを取り、効率のよい街づくりができるというのがスマートシティ構想だ。以下はその一例である。

スマートエネルギー
エネルギーに関していえば、発電所、変電所、工場、オフィス、家庭がリアルタイムで結ばれ、都市全体の電力需要と供給のバランスを計算し、必要なところに必要な分だけ無駄なく供給することができるようになる。

スマートモビリティー
交通で言えば、渋滞情報を街全体で共有することにより、迂回情報を自動運転車にリアルタイムで直接流して目的地に最短時間で着くようにすることができる。また渋滞を緩和するために、場合によっては昔のテレビ番組「西部警察」でやっていたように、交通信号の長さをその時の交通事情に合わせて自動的にコントロールすることも可能だ。(「西部警察」は手動だったが)

スマートガバナンス
住民票などの市役所の窓口業務がなくなる可能性がある。また、日本の国会で問題になったことであるが、役所仕事は今でも紙が主流であるが、これからは役所仕事もペーパーレスになる。また、日本だけでなく外国との都市間のコミュニケーションが図られ、各種証明書も紙に書いてサインするものが少なくなってくると思われる。

スマートエコノミー
AIによって、銀行の窓口業務が極端に減り、貸付審査もAIがするようになると人がする仕事が極端に減るとずいぶん前から言われていた。5Gによってこの傾向はさらに加速すると思われる。

スマートシティ構想は勿論いいことばかりではない。技術的、社会的に多くの問題を孕んでいるが、このことはまた別の機会に説明したいと思う。

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