ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

5Gの特長は、単にスピードが速くなるというだけではない。大きく分類して次の4つの特長を持つ。

  • 高速通信:データ転送スピードが速いということ
  • 大容量:大きなファイルを瞬時にダウンロード、アップロードできる
  • 多接続:たくさんの通信を同時に送受信する
  • 低遅延(遅延が少ない):接続するときの手続き時間が非常に短い

以上の特長を踏まえて、今まで想像もつかなかった多くのイノベーションが待ち受けていると言えよう。以下は現在考えられる5Gを使った応用例だ。

  • 4K、8Kテレビ、ビデオの視聴:高解像度映像を移動中のスマホで観ることができる
  • スタジアムでの多元中継:多くの視点の異なるカメラ映像を同時にスマホで観ることができる
  • ホーム・オートメーション:ホーム・セキュリティー、留守宅での訪問者へのリモート対応、省エネルギー管理、帰宅10分前の冷房、暖房スタートなどが音声、映像、ウェブによって遅延なく総合的に管理される
  • 自動車の自動運転:データ転送遅延を1ミリ秒以下に抑えることによって、ブレーキ、ハンドル操作など、人間が判断、操作する機能で人間以上の俊敏さ、正確さを実現。また、地図情報の精度、速度が上がりより効率よく、安全に運転できるようになる
  • AIの進歩:AIで判断されたものを高速、低遅延で伝える。たとえば、株の売り買いではデータ転送遅延が極力少ないことが求められているので、AIが判断した売り買いが遅延なく行われることによって多くの利益が生まれる
  • VR(バーチャル・リアリティー)が本格化する:現在ゴーグルを使ったVRは画像が荒く、動きについて行けず、紙芝居のようにペラペラ捲れるなどの欠点があるが、5Gにより非常にリアルで精細な動画映像を観ることができる。このことによって、現在のゲーマーだけの世界からビジネスや一般の人にも使用範囲が広がると見られている
  • 高速遠隔操作が可能:クラウドと組み合わせることによって、自宅とオフィスの垣根がなくなるだけでなく、世界中どこにいても5Gがあるところでは同じ感覚で仕事や用事ができるようになる。また地方の病院で専門医がいないところでも、専門医が遠隔操作によって手術ができるようになる

データ・ドリブン:以上は5Gでどんなことができるかという例であったが、もう一つ大事なこととして、データ・ドリブンが本格化するということがある。データ・ドリブンとは、先に戦略があって必要なデータを選ぶのではなく、データを集めてその分析結果から戦略を作るという考え方である。これはすでにアマゾン、グーグル、フェースブックなどで行われていることであるが、5Gによってこれまで以上に大量のデータが集められることから、データによってより多くの有意義な情報が得られ、その分析によって政治、経済、軍事が優位になると言われている。

データ・ドリブン・エコノミー:経済的な話をすれば、たとえば不動産購入時のモーゲッジやローン設定などは本人から詳細を聞くことなく金額の上限を設定できるようになる。また、お店にとっては優良客を判別する材料になる。データ・ドリブン・エコノミーは、各国によってスタンスが異なるが、 アメリカは比較的自由で、ヨーロッパはどちらかというと個人情報厳守、そして中国は対外的には保護主義と言われている。しかし、中国国内においては国が国民のデータを管理していることもあり、本来プライバシーに関するデータも国が自由に使用でき、それが10憶以上もあることから、統計上、管理上、戦略上有利であると言われている。日本、オーストラリアに関してはさてどうであろう。

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