ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

前回は5Gの速度についてお話した。そして次回(つまり今回)は、5Gになって初めて実現できるもののお話をしようと書いたが、ここに来て5Gサービス開始の話題が相次いだため、ニュース性を考えて今回は5Gサービスのお話しをしようと思う。

米国Verizon社は、4月11日に世界初の5Gサービスを開始する予定でいたが、韓国が4月5日からサービスを開始するというニュースを受けて急遽1週間前倒し、4月4日の開始にした。ところが、それを聞いた韓国のキャリア3社はVerizonよりさらに2時間早く開始するという「世界初」を両国キャリアが主張する事態になった。どちらが世界初かというのはお互いけなし合いをして未だに争われている。

そして、ここオーストラリアでもテレストラ社とオプタス社がサービスを開始した。この間ショッピングセンターを歩いていると、Optus 5Gの広告が目に入った。その広告によると、Optusが最初に5Gを開始したと書いてあったが、ウェブなどを見るとテレストラの方が先のようにも書いてあり、どういうことなのか詳しく調べる必要があるが、正直この争いには興味がないのでそのうち調べることにする。

オプタス社のウェブには、キャンベラとシドニーの一部その他の地域に100サイトを構築し、2020年3月までに1200サイトまで増やす予定であると書いてあった。テレストラ社はもっと詳しく5G Coverageがマップになっており、各都市をクリックしてどの地域が現在アベイラブルかということがわかる。
https://www.telstra.com.au/5g#sydney

まず基本的な知識として、5Gを利用するためには、5Gに対応した携帯電話(スマートホン含)が必要である。簡単に言うと、新しい5G用の携帯電話を購入する必要があり、今使っている電話では利用できないと思った方がよい。ただ、世界初を主張した米国Verizon社は最初4G用のモトローラ「Moto Z3」を5Gモデム搭載のルーター機能が入った拡張ケースに入れるという方法を取ったため、ライバルである韓国のネットユーザーから4.5Gだと揶揄されている。すでに販売されているスマートホンとしては、サムソン、ファーウェイという韓国、中国勢が先行しているようだ。iPhoneの対応は私が知る限りまだのようだ。

高速・大容量化のためには、現在の4Gで使われてきたLTE(Long Term Evolution)と呼ばれる3.6Ghz以下の周波数よりかなり高い周波数が必要である。現在5G用にミリ波帯と呼ばれる28Ghz以上の高い周波数が期待されているが、周波数が高くなると障害物にあたったときに迂回できない。従って長い距離が飛べないという問題がある。そのために現在ある4G無線基地よりも2、3倍の数の5G無線基地が必要になるのではと言われている。現在5Gをスタートさせたキャリアのほとんどは、4Gで使っていたLTEをまず利用して、その範囲の中で5G専用のミリ波を使用できるようになった地域はミリ波による5Gが利用できるという、4G、5G・LTE、5G・ミリ波を混在した方式を採用している。こうすることによって、現在の4Gインフラを使用しながら徐々に5Gに変更できる訳だ。従って今、5G対応携帯電話を買ったからといって、驚くほど速いという体感がすぐに得られるかどうかは疑問だ。

5Gのサービスには、携帯電話とは別に5G Home Broadband(このプラン名はオプタス社)というプランが紹介されている。つまり5Gを家庭で使用するプランだ。どうなっているかいうと、5Gは元々無線なので、その無線を受信してWi-Fiで発信するモデム・ルーターが必要で、写真では白い円筒形のものが紹介されていた。そこで「5Gは元々無線なのに、なぜわざわざ一旦モデム・ルーターで受けてWi-Fiで飛ばさないといけないのか?」という疑問が生じる。この答えとしては、LANの構築ができるということが一つ。つまり、会社や学校、家庭の中だけでネットワークを構築したいと思ったときにどうしてもルーターで制御する必要があるためだ。また、5Gをそれぞれのデバイスで直接受けていると、それぞれに料金が発生するため、1つのアカウントで受けてそれを配信した方が安くつくからだ。

もし5G Home Broadbandが普及したら、もしかしたら現在進行中のNBNが必要なくなるのではないかと思う方もいるかも知れない。5GはNBNと同じスピードを出したとしても、無線は有線に比べてどうしても安定性に欠け、また障害物などによって速度が減衰するという問題がある。NBNは現在100Mbpsというのが一般的だが、将来その10倍以上のスピードを出せる可能性があり、NBNと5Gとどちらが速いかスピードを競った場合、私の予想であるが、常にNBNが先に出ることが考えられる。また、価格面からも同じスピードだとNBNの方が安くなると推測される。

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