情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ法律事務所-国際商事仲裁専門
主席弁護士・公証人 堀江純一(茨城県弁護士会所属外国法事務弁護士)


豪州での国際仲裁とは

国際仲裁とは日本企業と豪州又は外国企業との紛争を、どちらかの当事者が所在する国の裁判所ではなく、どちらの国からも独立した国際的な仲裁機関によって手続きを進めて解決する制度です。
仲裁人が下した判断は、裁判所が言い渡す判決と同様の既判力を持っており、紛争の最終的な解決を第三者に委ねるという意味では、裁判所での訴訟手続と類似する部分も多くあります。

しかし日本では下表の通り、国際仲裁があまり浸透していないのが現状です。

国際仲裁の主な特徴、具体的な手続の流れは以下の通りです。

①仲裁への合意

まず訴訟においては管轄が認められている限り、被告が応訴する意思が全くない場合でも手続きを進めて判決をとることが可能です。一方で国際仲裁では両当事者間に合意がない場合、手続きを進めて仲裁判断を得ることができません。また仲裁への合意がある限り、いずれかの当事者が裁判所で訴えを提起しようとしても、その訴えは却下または停止されることになっています。

②仲裁人の選定

訴訟では裁判官を当事者が選ぶことはもちろんできません。しかし国際仲裁においては、手続きを進め最終的な判断を下す人を当事者が選定することができます。

※仲裁人について
仲裁人の数は当事者が自由に決めることができますが当事者が決めていない場合1人又は3人とする国が多いです。仲裁人の選定についても当事者が自由に決めることができます。
当事者が選定方法を決めていない場合は以下の方法を定めている国が多く
仲裁人が1人→裁判所が決める
仲裁人が3人→それぞれの当事者が1人ずつ選出し、その選ばれた2人がもう1人の仲裁人を選出する

となっています。
選出された仲裁人に公平性や独立性を疑うことがあった場合は当事者は裁判所に忌避することができます。

また多くの国際仲裁では仲裁機関とされる組織を利用される事が多いです。その理由としては仲裁の手続きを進めるにあたり事務処理や審問場所の手配が必要になり、仲裁人だけではこのような事務作業をスムーズに進めることが困難な為です。
このような役割をする仲裁機関は世界中に多く存在しています。

③審問手続き

仲裁人が選定されるとその仲裁人の指揮の下で、審問等の手続きが始まります。証拠調べ等が行われたりと裁判所での訴訟の手続きと同様です。
仲裁と裁判の間で大きく異なる点は「公開義務がない」ということです。紛争の存在自体が公にならないというメリットとなります。

④仲裁判断とその取り消し

仲裁判断は判決と同様に確定すれば既判力があります。判断内容を公開する義務がない為、どのような内容の仲裁判断が下されたのかも非公開となる場合も少なくありません。

また、ほとんどの仲裁において上訴審が用意されておらず一審のみで確定するものとされています。これは迅速的な紛争の解決を希望している当事者が訴訟ではなく仲裁で紛争の解決をする理由の一つになっています。したがって、仲裁判断が下された後は、両当事者はその案に関し争うことができなくなります。

しかし例外もあります。仲裁人の選任手続きや仲裁手続きの指揮等において必要最低限とされる手続きの保障が当事者に確保されていなかった場合、仲裁による解決が不可能とされている事項に対して仲裁判断がなされた場合、仲裁の内容が公序に違反するような場合は裁判所に仲裁の判断の取り消しを仲裁地の裁判所に申し立てることができます。

⑤仲裁判断の承認執行

仲裁判断は既判力がありますが、負けた当事者が仲裁判断にどうしても従わない事態も起こりえます。その場合は仲裁判断を強制的に執行する必要がでてきます。多くの国では強制執行が求められている地の裁判所に申し立て、裁判所による審査を受けた上で、執行力が付与されるという方法をとっています。
執行拒絶事由は仲裁判断の取り消しとしてあげられている事由とほぼ同じ内容を定めている国がほとんどです。

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