鳥居泰宏/ Northbridge Medical Practice


大麻草には医療用に役立つ成分が含まれています。医療で使う大麻とはこの植物から必要な成分を抽出して医薬品として製造されているもので、医師の処方が必要です。大麻、あるいはマリファナとしても知られていて、娯楽用に使用される場合、この植物の葉を乾燥させてタバコとして吸ったり葉を食べたりします。
娯楽用の使用が国として完全に合法化されているのはウルグアイ、カナダとスペインだけですが、生産、流通、販売に関しては政府が設立した専門機関がコントロールし、年齢制限や使用量の制限をしています。オーストラリアや日本では娯楽用の大麻使用は違法行為です。
大麻草には約百種類の化学物質(Cannabinoid, 大麻類)が含まれていますが、医療用の性質がわかっているのはテトラヒドロカナビノール(THC, tetrahydocannabinol)という成分とカナビジオール(CBD, cannabidiol)の2種類です。医薬品として製造される大麻はこの二つの成分をあらゆる比率で配合させたものがほとんどです。

娯楽用マリファナの作用
*嬉しくなり興奮状態になる
*集中力の減退
*リラックスして自信が増す
*普段よりも多弁になる
*不安と妄想
*飢餓感
*眼の充血
*心拍数の上昇
*口の渇き
*めまい
*反応時間が遅くなる(運転や重機の扱いは危険)
上記のような効果がどのように現れるかは個人個人で異なります。
また、長期間マリファナを使用した場合、次のような弊害がおこることもあります。
*欝病などの精神疾患
*睡眠障害
*性機能障害
*精神分裂症
*肺疾患(慢性閉塞性肺疾患、肺癌)
違法に入手して娯楽用にマリファナを使用した場合、どのような大麻類がどのような配合で含まれているかはわかりませんし、不純物も含まれている可能性も充分にあります。マリファナを吸った場合、タバコに含まれるときと同じ発癌物質が最低50種類も含まれています。

医療用大麻の作用
*THC(テトラヒドロカナビノール、tetrahydrocannabinol)
 この成分は主に気分を”ハイ”にさせる効果がありますが、痛みを抑えるこうか、筋痙攣を抑える効果、吐き気を抑える効果、消炎効果、食欲を増進させる効果、それに睡眠を促す効果などがあります。
*CBD(カナビジオール、 cannabidiol)
 THCのように気分を”ハイ”にさせるような精神作用はなく、THCでおこることもある不安症を抑える効果があるようです。痙攣を抑えたり痛みを抑える効果もあるようです。

医療用大麻は主にこの二つの成分が異なった割合で配合されたものです。現在よく使われている製品はNabiximols, Dronabinol, Nabilone などがあります。医療用大麻はあらゆる方法で摂取できます。錠剤、カプセル、オイル、液体、口や鼻スプレー、ジェル、クリーム、皮膚パッチなどがあります。タバコ状に吸引する方法は煙には発癌物質も含まれることにより推奨されていません。これから研究と臨床試験が重ねられることによって、より安全でより治療目的が絞られた製品が出現してくるであろうと期待されています。

医療用大麻の適応
現在、効果があると思われている適応症はいくつかあります。
*慢性の痛み、特に神経因性疼痛にはTHCが多く含まれる製品に痛みを抑える効果があるようです。また、このような患者さんの睡眠を助ける効果もあるようです。
*癌による痛みを和らげる効果、化学療法からおこる吐き気、嘔吐を抑える効果、それに癌によって体重が落ちた人の食欲を増進させる効果(AIDSの治療によっておこる吐き気、嘔吐、それに体重減少)
*てんかんの発作を抑える効果がCBDにあるようです。
*多発性硬化症における筋肉の痙攣を抑える効果

また、これから次のような疾患に対しての治療効果をみる臨床試験も行われています。
*若い人の不安症
*不眠症
*トウレット症候群(Tourettes syndrome)
*アルコール離脱症
*認知症患者の激越
*神経性無食欲症(Anorexia nervosa)
*炎症性腸疾患
*メタンフェタミン依存症(Metamphetamine addiction)

オピオイド薬などとの比較
オピオイド薬(コデイン、モルヒネ、ヘロイン、コカイン)やアルコール、精神安定剤などと比較して薬剤としての毒性は医療大麻の方が低く、乱用による致死率はこのような薬よりもかなり低いようです。

医療用大麻の副作用
副作用の発生率は使用された薬によっても異なりますし、個人差もありますが、次のような副作用がおこることがあります。
*疲労感、眠気
*嘔吐、吐き気
*食欲の変化
*口の渇き
*めまい
*不安症
*注意力や記憶力の低下
*まれに幻覚、精神錯乱、妄想などをおこすこともあります。

精神病の既往歴のある人、妊婦や授乳中の女性、安定していない心疾患を持っている人などには使用できません。その他、重症の腎臓疾患、肝臓疾患、薬物依存症患者、小児や高齢者などは状況によっては使用できないこともあります。

医療用大麻のアクセス
オーストラリアでは医療大麻の使用に関しての規制はきびしく、医師を通してアクセスしなければなりません。適応とされる疾患で、従来の治療だけでは効果が得られなかったような場合、一般開業医、あるいはかかっている専門医と相談してみることが第一歩です。オーストラリア各地域にはCannabis Access Clinic がありますのでかかりつけの医師から紹介してもらうか患者さん自身でウェブサイトにアクセスして問い合わせることもできます。
(https://cannabisaccessclinics.com.au)
医療大麻の治療においては保険の適応外となることが多く、自己負担額が重なります。Cannabis Access Clinic での診察費に関する自己負担は毎回$80~$120で、薬品代は平均で月$350はするようです。

Share This