ジャパン/コンピュータ・ネット代表取締役 岩戸あつし

 

「Hello, this is Telstra. We found your PC has been hacked and infected by virus…..」このような電話を受けたことはないだろうか。テレストラの代わりに、マイクロソフト、NRMA、車の事故処理業者といろいろ。実はこの2,3ヶ月の間に10件以上この種の問い合わせがわたしの会社にあった。被害者は日本人で(仕事柄日本人の客が多いが)英語が堪能ではないがある程度しゃべれる人で、女性の割合が多かった。以下どのような電話であったか例を挙げる。

  1. テレストラから電話があり、「お宅のPCがハッキングされていて、そのままに放置すると1週間で回線を切る手続きを取ることになる。今コンピュータを開けてこちらの指示通りにしてほしい。」と言ってPCを操作させ、本当はハッキングされていなかったPCに今度はハッキングのソフトを埋め込み本当にハッキングする詐欺。そして個人情報、クレジットカード明細をたずねた。
  2. マイクロソフトから電話があり、内容は上とほぼ同じ。
  3. 車の事故処理業者から電話があり、車の事故の報告があるので、それに対して処理させてもらうという内容。最初に名前を聞かれ、次々と個人情報を取られる。

車の事故処理業者に関してはわたし自身が電話を受けたのでよく覚えている。以下わたしの対応を書く。インド訛の英語で、いきなり名前を聞かれた。わたしは、名前を名乗らず何の用か聞いた。すると車の事故の情報があり、それに対応するために電話してきたと言う。実は数日前に妻が事故に遭っていたのだが、でもこの電話番号は伝えていないはずだと思い直した。そこで相手の情報を聞くことにした。「そちらの会社名と住所、電話番号を教えてほしい。」すると相手はこの質問を待っていましたというようにすらすらと話した。住所は?? Victoria Road, Parramatta で電話番号はシドニーの番号、名前はエイドリアン。これで相手を信用させているのだと感じた。電話はどこでも転送できるし、相手の住所はすぐに調べることができない。そしてウェブサイトも教えてくれたが、これも彼らのものかどうかも咄嗟には判断できないし、たとえ彼ら自身のウェブであっても巧みに正体を隠して、こちらから追跡できないようにしているだろう。電話が掛かってきたとき、わたしはたまたま事務所にいたので、グーグルで住所を検索することができた。そうするとその住所はキリスト教の教会になっていた。そのことを相手に告げるといきなり電話が切れた。

なんのためにこんな詐欺をするかと言えば、まずお金。そして個人情報。個人情報はまとめれば結構言い値段で売れるらしい。そして一旦個人情報を渡してしまえば、次から次へ会社名を変えて似たような電話がかかってくることになる。犯人像であるが、わたしはある程度想像はついているが、確たる証拠なしに公の文章に書くわけにはいかないので、ここでは遠慮しておく。しいて言うなら、これらの一連の詐欺はもしかしたら同じソースではないかと思うことだ。

対策として、最初から相手にしないのが一番いいのだが、すでに相手にしてしまった人や、本物と見分けがつかず困っている人のために以下のようなサジェスチョンがある。

  • クレジットカード番号を取られた人は、クレジット会社に被害届を出し、番号を変えてもらう
  • PCを操作させられた人は、PCを初期化(工場出荷状態)にする。初期化するとすべてのデーターや以前に入れたプログラムがなくなるので、初期化前に必要なデーターは取っておくこと。インストールさせられたプログラムをアンインストールするだけでは不十分なので注意。
  • アンチ・ウィルスソフトは必ず入れる(できればフリーのものより市販のものを買う)
  • たまに、ルーターの設定を変更されられて外からハッキングできるようになっていることがあり、もしかと疑う人はルーターの設定を専門家に確認してもらう
  • 本物かどうか確かめたい人は、テレストラやNRMAという有名企業なら、電話番号とオペレーターの名前と社員番号を聞く。名前は特にファーストネームでは多すぎて特定できないので必ず社員番号も聞く。そしてこちらの個人情報は一切渡さない。「疑っているのか?」と聞かれたら迷わず「そうだ」と応えよう。相手の電話番号が本当にその企業のものかウェブなどで確かめ、電話をしてそのような社員が電話してきたかどうかを聞く。

あと狙われ易い人として、英語がネイティブのオーストラリア人より英語がもう一つ自信がない日本人や他のエスニック方がかかりやすい。英語を理解しようと一所懸命になるあまり詐欺師の嘘に気づかず、いいなりになってしまうのだ。後で考えればなんであんなことをしてしまったのかと思うが、咄嗟の判断がなかなかできない。地震災害の予防訓練があるように、普段からこの種の詐欺の予防訓練をしておくとよいと思う。

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