情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ法律事務所-公証役場
主席弁護士・公証人 堀江純一(茨城県弁護士会所属外国法事務弁護士)


 

正義と秩序(その104)

7月1日移民局発表の駐在員Visa変更について

Q1 移民局は7月1日に英語の試験が再度免除になると発表したとお伺いしました。しかし、4月18日発表では7月1日から英語試験の免除は無くなるとお伺いしておりました。Visa申請の際には英語の試験は受けなくてよいのでしょうか?
A1 4月18日に移民局は7月1日から長期滞在査証457の審査基準の中に英語の試験は必修で有ると発表致しました。今回の発表では年俸$96,400以上の派遣社員に対しては英語の試験は免除すると有りました。

Q2 4月19日以降経営トップや上級管理職は2年しかVisaが下りなくなりました。しかし、7月1日の発表では再度4年のVisaが頂けるとの事です。
A2 4月19日以降査証を申請する際の職種がShort-term Skilled Occupations List(STSOL)とMedium and Long-term Strategic Skills List(MLTSSL)の2つに区分されました。STSOLは2年までの査証、MLTSSLは4年までの査証です。この時点で、Chief Executive or Managing Director(経営トップ)及びCorporate General Manager(上級管理職)はSTSOLに属する区分を受けました。所が、7月1日の発表ではこれらの職種をMLTSSに移行するとの事でした。

Q3 私は現法の社長で来ておりますので、次のVisa更新の際は2年ではなく4年頂ける訳ですね?
A3 駐在員の場合はその通りです。しかし、現地採用の場合は7月1日時点で年俸が$180,001以上なければChief Executive or Managing DirectorやCorporate General Managerの職種では査証の申請は出来なくなりました。

 

正義と秩序(その103)

4月19日以降の駐在員VISAの現状

Q1 Visaの更新をしたのですが、ノミネーションが却下されました。その理由は私を含めて従業員が3名しかいない為でした。
A1 どの様な役職で申請されたのでしょうか?

Q2 社長(Managing Director)として申請したのですが駄目でした。
A2 4月19日以降従業員が5名未満の事業主は社長職ではノミネーションが許可されなくなりました。

Q3 小さな現法ですので社長職を現地化する事は出来ません。如何したら宜しいのでしょうか?
A3 営業課長職(Sales & Marketing Manager)で申請してみては如何でしょうか? 年間売り上げが100万ドル以上の制限は有りますが、従業員数5名の制限が有りません。

Q4 私は役員を降りる必要が有るのでしょうか?
A4 確かに、会社法上住居者の役員(Residential Director)が必要ですが、Managing Director やCorporate General ManagerでVisaの申請をする必要は有りません。会社法上18歳以上で、禁治産者でなく、精神障害が無ければ、何方でも会社役員になる事は可能です。つまり、営業課長でも役員になる事は可能です。

Q5 しかし、会社役員には重責が課されます。また、役員で有りながら営業課長職で申請する事は虚偽の申請になるのではないでしょうか?
A5 業務内容が営業職であれば問題ないのではないでしょうか? 今回の暫定的な移民法の変更は、実質的なノミネーションをしなさいと言う指導と建設的には解釈出来ます。つまり、従業員が3名しかいない事業主が態々会社を設立するのでかと言う疑問から改正されたのではないでしょうか?

Q6 私の所は駐在員事務所ですが、部長職(Corporate General Manager)で申請した所、秘書を一人しか雇っていない為Visaが却下されました。事務所を閉める訳にもいけません。何か良い方法はないのでしょうか?
A6 駐在員事務所の場合は売り上げは有りません。本社の売り上げに該当すべきと解釈すべきです。依って、営業職(Marketing Specialist)で申請してみては如何でしょうか?

Q7 私は本社では部長職ですのでもう少し高い地位で申請出来ないでしょうか?
A7 今回の移民局の暫定的な変更は、業務内容を重視していると思料されます。よって、駐在員事務所では管理職での申請は難しいと思料されます。

 

正義と秩序(その102)

駐在員 VISA 457の廃止と Update

Q1 移民局は急遽4月19日から457Visa 申請に関して、小規模の事業体では現法の社長では Visa を下さなくなったとお伺いしました。社長で赴任した場合 Visa が下りないと言う事でしょうか? ご説明願いますでしょうか?
A1 4月18日に移民局から発表された Specification of Occupations, a Person or Body, a Country or Countries Amendment Instrument 2017/040 の中で4月19日以降の申請及び、現在申請中の Nomination(役職認定)申請に新たな条件が課されました。
Chief Executive や Managing Director で役職認定申請をする場合下記の条件17が追加されました。

a) Positions in a business that have an annual turnover of less than AUD 1 million;
b) Positions in a business that have fewer than five employees;
c) Positions that have a nominated base salary of less than AUD 90,000

上記の条件に一つでも該当する場合は、移民局は Chief Executive や Managing Director では役職認定をしなくなりました。

Q2 売り上げは100万ドル以上有るのですが社員が3名しかおりません。社長では Visa の延長が出来なくなった場合、如何したら宜しいのでしょうか?
A2 職務内容を分析し、通常何をしているかを考えて下さい。次に最終学歴や過去の経歴を思い出して下さい。例えば、経済を大学で専攻し、現在まで営業職であれば、Marketing Specialist で申請してみては如何でしょうか? その場合の条件は下記の通りです。

a) Positions based in a front-line retail setting;
b) Positions that predominately involve direct client transactional interactions on a regular basis;
c) Positions in a business that have an annual turnover of less than 1 million
d) Positions that have a nominated base salary of less than AUD 65,000

上記の条件に全て該当しない場合は Marketing Specialist で職務認定が可能です。

Q3 残念ながら私は入社以来技術系で IT エンジニアとして仕事をしておりました。
A3 Computer Network & Systems Engineer で申請してみては如何でしょうか? 但し、申請前に豪州コンピューター協会の資格審査を受ける事を移民局が要望する可能性があります。認定を受ければ、社長とは異なり、Medium And Longterm Strategic Skills(中長期的戦略技能)に入る為、2年ではなく4年の Visa が下りる可能性があります。

Q4 つまり、移民局は現在までの単なる現地法人の代表で審議するのではなく、職務内容を良く吟味し Visa の発給を審議する方針に変更したと言う事ですね?
A4 その通りです。

 

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