情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ法律事務所-公証役場
主席弁護士・公証人 堀江純一(茨城県弁護士会所属外国法事務弁護士)


正義と秩序(その96)

即時解雇に繋がるMISCONDUCTとその概念

Industrial Relations Commission(IRC)は2016年9月2日にNSWのState Traisit Authority(STA)に対して命令を出しました。

状況

Sunil Dissanayakeさんは2009年3月にSTAにメカニックとして就職しました。勤務地はシドニーの西郊外のライドに有りますバスの車庫でした。其処でSunilさんはバスの整備をしておりました。2014年8月にバスのタイヤが2本抜けると言う事故が発生しました。Sunilさんは責任を取らされ即時解雇されました。

解雇の理由は彼が指示通りにバスのタイヤを整備しなかった為に、事故が発生し、乗客並びに運転手を危険な状態に陥らせたと言う論点にありました。

告訴

解雇に不満を持ったSunilさんはNSW州の公務員であった為、Fairwork Commissionで受け付けて貰えず、IRCに告訴致しました。

第一審

車両整備点検を怠わり、安全運行に問題を起した罪として即時解雇は妥当であると結審致しました。但し、Sunilの年齢及び再雇用の可能性を考えると解雇は厳しい過ぎるとの意見も有りました。

納得出来ないSunilさんは上告致しました。

第二審

新たな事実が発見されました。STAはSunilさんに対して矛盾する指示を何回と無く出しておりました。タイヤのナットを締める圧力に関する指示が、其の度に変わっていたのでした。第二審では不当解雇で有ると結審されました。
18週間の給料をSunilさんに支払う様命じました。

IRC長官のコメント

即時解雇は解雇通知を与える場合と異なり、慎重に取り扱う必要が有る。

2014年8月の15ヶ月前にもSunilさんが整備点検を怠っ為に、バスが車庫に衝突する事故が発生致しました。この際には文書で解雇警告がなされました。

上からの指示に従わない行為は業務過失より重大であると長官は述べました。

学習

この判例で学ぶ点は、即時解雇は、確実な事実を摑んでる場合に限ると言う事です。事実関係が不明な際には即時解雇は避けるべきであります。

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