情報提供:アドバンテージ・パートナーシップ法律事務所-公証役場
主席弁護士・公証人 堀江純一(茨城県弁護士会所属外国法事務弁護士)


正義と秩序(その93)

FWO(Fair Work Ombudsman)調査官が貴事務所に来られたら如何すべきか?

FWO調査官とは労使及び教育関連の調査官です。Fair Work Act 2009(労使法)に則り令状無しに貴事務所に入室する事が出来ます。

調査官は貴事務所に入室する前に、身分証明書を提示する義務が有りますので、身分の確認をして下さい。

法律上、調査官が令状無しに出来る事は下記の通りです。

 

1.業務調査
2.社員との面談(但し、其の社員が断る事が出来ます。)
3.書類の保管責任者を尋ねる事が出来ます。
4.書類保管責任者に対して、書類等の提出を求める事が出来ます。
5.ハード・コピーやソフト・コピーを撮る事が出来ます。
6.証拠物を摂取する事が出来ます。

以上

 

調査官に書類等の提出を求められた場合、業務が妨害されますので、今日は渡せませんとはっきりお断り下さい。
此れを受けて、調査官はNotice To Produce(NTP)を発行する事が有ります。

NTPは文書でFair Work Act 2009(労使法)の何条に違反している疑いが有るのか、又は、Enterprise Agreement(企業包括労使契約)の何項に違反している疑いが有るのかが明記されてなければなりません。

また、NTPにはどの様な書類を提出するのかが、明記されてなければなりません。
提出まで最低でも14日の余裕を与えなければなりませんので、NTPを受領次第、労使法専門の弁護士に相談する事をお勧め致します。

弁護士を起用した場合、Legal Professional Privilege(法曹特権)に基づき、合法的に書類の提出を拒否する事も可能です。

 

正義と秩序(その94)

2016年11月19日に於ける駐在員Visa(Subclass 457)の変更

1.転職

転職をする場合、退職日から数えて、以前は90日以内に次の職を見つかればVisaをそのまま活用する事が可能でした。11月19日以降は、それが60日に短縮されました。従い、退職する前に次の御仕事を見つける事が重要になりました。

2.扶養家族

駐在員Visaの申請にはご家族を含める事が出来ます。11月19日以降同伴出来るお子様の基準が変更になりました。

変更前

A.18歳未満      基本的に全員
B.18以上23歳未満    学生等の定職を持たないお子様
C.23歳以上      扶養が必要なお子様(例:働いた経験が無い)

変更後

A.変わらず
B.変わらず
C.肉体的又は精神的障害を持つお子様のみ

問題点:移民局は雇用主に医療費の負担を求めますので、雇用主は障害者であるお子様への医療費の負担を迫られます。

3.コメント

資源ブームが終わり、失業率の増加に伴い、再就職の出来ない外国人を早期に排除すのが今回の駐在員Visa変更の主旨と思料されます。

扶養家族にも労働権が与えられる為、23歳以上のお子様を労働市場から締め出す意図も見られます。

 

正義と秩序(その95)

判例:Rakic v Johns Lyng Insurance Building Solution (FCA)2016にみる虚偽の雇用契約

過程

Rakic(ラキ)さんはPattersons Insurebuild社で保険ブロカーとして仕事をしておりましたが、同業他社のJohn Lyng社よりオファーがありました。営業部長としてのオファーでした。

John Lyng社は口頭でラキさんに基本給$115,000の年俸のオファーを致しました。
Pattersons Insurebuild社では$215,000の年俸を頂いておりましたので、$100,000のダウンになります。

但し2.5% のProfit Shareを付けました。John Lyng社は業績が良いのでこのProfit Shareで$100,000以上稼げると説明致しました。過去2年間の業積から判断して軽く$100,000以上稼げると説明致しました。

その後電子メールで過去2年間の財務表並びに今年度の見込みが送られて来ました。

所が、就職して直ぐにJohn Lyng社の業績は悪化致しました。ラキさんは指名解雇されました。ラキさんは騙されたと思いました。$100,000以上のProfit Shareが頂けるとの約束で入社したのに指名解雇されてしまうとは会社は騙したに違いないと思いました。こんな事になるのであれば前の会社を辞めるべきではなかったとも思いました。

採用の際に虚偽の行為があったとして、ラキさんはJohn Lyng社を訴えました。

判決

連邦裁判所はJohn Lyng社に対して$333,422をラキさんに支払う様命じました。

判決理由

John Lyng社は利益が継続する事が不可能と予想されたにも拘らず、虚偽の表明をラキさんにした。従い損害賠償金をラキさんに支払う様命じました。

John Lyng社はProfit Shareは保障出来るものでは無いと反論致しました。

裁判所は財務表を吟味致しました。下記の点を見つけました。

 

1.今期の財務表は年度末3ヶ月前のものであり監査を受けていない。

2.今期の予算に到達しない事は其の時点で明らかであった。

以上

結審

ラキさんが転職をしなければ稼げたお金を賠償する様命じました。
また、雇用主は被雇用主を採用する際に無理な約束をすべきではないと結審致しました。特にProfit Shareの様なお金をお支払いする場合要注意であると述べました。

学習

Profit Shareはボーナスと同様に保障されないお給料では有りますが、裁判所はこれを悪用した雇用主に本件でメスを入れました。

正義と秩序(その96)

FWO(Fair Work Ombudsman)調査官が貴事務所に来られたら如何すべきか?

FWO調査官とは労使及び教育関連の調査官です。Fair Work Act 2009(労使法)に則り令状無しに貴事務所に入室する事が出来ます。

調査官は貴事務所に入室する前に、身分証明書を提示する義務が有りますので、身分の確認をして下さい。

法律上、調査官が令状無しに出来る事は下記の通りです。

 

1.業務調査
2.社員との面談(但し、其の社員が断る事が出来ます。)
3.書類の保管責任者を尋ねる事が出来ます。
4.書類保管責任者に対して、書類等の提出を求める事が出来ます。
5.ハード・コピーやソフト・コピーを撮る事が出来ます。
6.証拠物を摂取する事が出来ます。

以上

 

調査官に書類等の提出を求められた場合、業務が妨害されますので、今日は渡せませんとはっきりお断り下さい。
此れを受けて、調査官はNotice To Produce(NTP)を発行する事が有ります。

NTPは文書でFair Work Act 2009(労使法)の何条に違反している疑いが有るのか、又は、Enterprise Agreement(企業包括労使契約)の何項に違反している疑いが有るのかが明記されてなければなりません。

また、NTPにはどの様な書類を提出するのかが、明記されてなければなりません。
提出まで最低でも14日の余裕を与えなければなりませんので、NTPを受領次第、労使法専門の弁護士に相談する事をお勧め致します。

弁護士を起用した場合、Legal Professional Privilege(法曹特権)に基づき、合法的に書類の提出を拒否する事も可能です。

 

正義と秩序(その97)

2016年11月19日に於ける駐在員Visa(Subclass 457)の変更

1.転職

転職をする場合、退職日から数えて、以前は90日以内に次の職を見つかればVisaをそのまま活用する事が可能でした。11月19日以降は、それが60日に短縮されました。従い、退職する前に次の御仕事を見つける事が重要になりました。

2.扶養家族

駐在員Visaの申請にはご家族を含める事が出来ます。11月19日以降同伴出来るお子様の基準が変更になりました。

変更前

A.18歳未満      基本的に全員
B.18以上23歳未満    学生等の定職を持たないお子様
C.23歳以上      扶養が必要なお子様(例:働いた経験が無い)

変更後

A.変わらず
B.変わらず
C.肉体的又は精神的障害を持つお子様のみ

問題点:移民局は雇用主に医療費の負担を求めますので、雇用主は障害者であるお子様への医療費の負担を迫られます。

3.コメント

資源ブームが終わり、失業率の増加に伴い、再就職の出来ない外国人を早期に排除すのが今回の駐在員Visa変更の主旨と思料されます。

扶養家族にも労働権が与えられる為、23歳以上のお子様を労働市場から締め出す意図も見られます。

 

正義と秩序(その98)

判例:Rakic v Johns Lyng Insurance Building Solution (FCA)2016にみる虚偽の雇用契約

過程

Rakic(ラキ)さんはPattersons Insurebuild社で保険ブロカーとして仕事をしておりましたが、同業他社のJohn Lyng社よりオファーがありました。営業部長としてのオファーでした。

John Lyng社は口頭でラキさんに基本給$115,000の年俸のオファーを致しました。
Pattersons Insurebuild社では$215,000の年俸を頂いておりましたので、$100,000のダウンになります。

但し2.5% のProfit Shareを付けました。John Lyng社は業績が良いのでこのProfit Shareで$100,000以上稼げると説明致しました。過去2年間の業積から判断して軽く$100,000以上稼げると説明致しました。

その後電子メールで過去2年間の財務表並びに今年度の見込みが送られて来ました。

所が、就職して直ぐにJohn Lyng社の業績は悪化致しました。ラキさんは指名解雇されました。ラキさんは騙されたと思いました。$100,000以上のProfit Shareが頂けるとの約束で入社したのに指名解雇されてしまうとは会社は騙したに違いないと思いました。こんな事になるのであれば前の会社を辞めるべきではなかったとも思いました。

採用の際に虚偽の行為があったとして、ラキさんはJohn Lyng社を訴えました。

判決

連邦裁判所はJohn Lyng社に対して$333,422をラキさんに支払う様命じました。

判決理由

John Lyng社は利益が継続する事が不可能と予想されたにも拘らず、虚偽の表明をラキさんにした。従い損害賠償金をラキさんに支払う様命じました。

John Lyng社はProfit Shareは保障出来るものでは無いと反論致しました。

裁判所は財務表を吟味致しました。下記の点を見つけました。

 

1.今期の財務表は年度末3ヶ月前のものであり監査を受けていない。

2.今期の予算に到達しない事は其の時点で明らかであった。

以上

結審

ラキさんが転職をしなければ稼げたお金を賠償する様命じました。
また、雇用主は被雇用主を採用する際に無理な約束をすべきではないと結審致しました。特にProfit Shareの様なお金をお支払いする場合要注意であると述べました。

学習

Profit Shareはボーナスと同様に保障されないお給料では有りますが、裁判所はこれを悪用した雇用主に本件でメスを入れました。

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